兄達と彼はスーパードクターズ2 (ページ6)

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イレウス6 ページ6

山Pサイド

「ちょっと力抜ける？お腹のどの辺りが痛いか教えてくれるかな？吐き気はまだある？」

と背中を擦ってやりながら声をかけるけど、お腹を抱えて目を堅く瞑ってハァハァと速い呼吸を繰り返すだけのA。まあ腸閉塞だったら、強烈な痛みだろうから耐えることに全神経を集中させてるんだろうな。

横向きになってお腹を抱えてるAの手の間から、自分の手を滑り込ませてお腹の状態を診てみる。目で見た感じでは下腹が膨らんでるみたいだな。

「ちょっと触るよA。痛かったら教えてね、ってもうすでに痛いか。もうすぐ翔先輩来てくれるから大丈夫だよー。」

少しでもAの不安と痛みを和らげてあげられるように声をかけてやる。でもドクターとしてちゃんと状態も把握しなくちゃと思い、お腹を触ってみる。やっぱり張ってるし少し硬いな。オペになるかなー。おそらく開腹手術したことによる癒着が原因だろうけど、くせになって何度もオペしなきゃいけない人いるしなー。

両手はお腹を抱えて混んでいるので頚動脈で脈を確認する。
ドクドクドクと速い拍動が指に伝わってくる。汗もだいぶかいてるし、早く救急車来てくれ。

少しでも力が抜けるようにと背中を擦り続けてるけど、状態は変わらない。もし腸管がねじれを起こしていたらオペしかないだろうなーと思っていると、また吐き気が出てきたのか、えづいているA。

さっき風呂場から持ってきた洗面器を口元に持っていってやり、

「出そうだったら我慢しないでここに出しちゃっていいからな。」

と声をかける。腸が詰まってるから消化しても蠕動運動で送られることなく逆流してくる。あんまり吐くと脱水にもなりかねないからちょっと心配だなーと思っていると合鍵を持っている翔先輩が雅さんと一緒に部屋に駆け込んできた。

翔「どんな感じ？」

「下腹部、視診でも少し膨らんでますね。圧痛も見られます。嘔吐は1回ですけど、また今吐き気がきてるみたいで。熱はないです。脈はつい数分前に測ったときは112でした。」

雅「とりあえずルート確保しようか。救急車待ってる間にできることはやろう。A、大丈夫だよー。翔兄も来てくれてるからねー。もう少し一緒に頑張ろうなー。」

「じゃ俺がルート取ります。」

翔「お前はAの背中擦ったり手握ったりしてやれ。あと声もかけ続けてあげて。今のお前の役目はドクターじゃなくてAの支えになること。わかった？」

と翔先輩に言われた。