【ブルーロック】冴くんのにゃんこ。【糸師冴】

maple ページ46

目をあけると、知らない天井。


……この文章見たことある、転生系の小説。


ってことは私また転生したの!?


むく、と体を起こすと私を心配そうに見ている冴くんの姿があった。


そして横に立っているのは動物病院の先生。


あ、私、子猫をかばって喧嘩に巻き込まれて、ケガしたんだっけ。


冴くんが心配そうな顔するなんて、似合わないよ。


『にゃーん。』


安心させるように鳴いてみせれば、信じられないほどやわらかい表情で私のことを撫でる。


人差し指だけで。


……待って、よく見たら私頭になんかついてる。


これが噂のエリザベスカラーか。不便。


でも今私は元気、それだけで感謝だね。


＊＊＊
「邪魔かもしんねぇけど、しばらく外せないらしいから、我慢しろ。」


家に帰ってきて、まず初めに冴くんが言った一言はそれだった。


あれ、喧嘩したことへのお叱りがあると思ったのに。


「あ、ここからいつもお前脱走してるんだな。」


あの時、窓を閉め忘れていたみたい。


「本当のこと言ったら脱走しないでほしいけど、お前もともとは野良猫だもんな。」


窓を閉めながら、何でもないように冴くんが言う。


そうなんだ、私は冴くんに拾われたのかな。


「今日の喧嘩も、お前からやったわけじゃないよな？だから、叱らないが……。」


─────もう、ケガだけはするなよ。……無駄な杞憂したくねぇから。


心配してくれた、その事実に、悪いことをしたとわかっていても愛されてるんだ、と嬉しくなったりして。


また、この日常が好きになる。


＊＊＊
maple→。カエデ。花言葉は「大切な思い出」。


長くなっちゃいました……とても良いお題だったもので。


皆様よくそんな素敵なリクエスト思いつけますね、どれも書いてて楽しいものばかりです。


リクエストありがとうございました。

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