【ブルーロック】冴くんのにゃんこ。【糸師冴】

japanese spiraea ページ44

(凛side)

それは、練習から帰っていた時のことだった。


いつも通りの道を通って歩いていると、


「ミー、ミー！」


子猫が、親を探しているような鳴き声が聞こえてきた。


何かあったのかとそっちへ歩く。


「ミャ。」


子猫と対面する。


子猫は俺を見ると、縋るかのように鳴き、俺のズボンのすそを加えて引っ張った。


「何だよ、引っ張んな。」


抵抗するも、必死で俺をどこかへ連れて行こうとしているようだった。


仕方なく、俺はそのままついて行った。


そしてつれて来られた路地裏。


そこには一匹の猫が横たわっていて、その体には痛々しい傷跡。まだ息はある、喧嘩だろう。


「俺が何とかしろ、ってことかよ。」


面倒な事になった……と思いつつも放置するわけにはいかないので、病院に連れて行こうと抱き上げる。


「……まさかお前、A？」


つややかな毛並み。


見慣れた模様。


それらすべて、Aと一致している。


そして何より、翡翠色の首輪。これが動かぬ証拠。


「兄ちゃんは何してんだよ……。」


こうしている間にも不安は増していくばかり。


感情に左右されることなんて普段はない。


自分に軽くいらだちながら、病院へ急いだ。


＊＊＊
Japanese spiraea→シモツケ。花言葉は「眠り」。

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