タクシー ページ46
月日は流れ、今日はあの人が帰国する日。
シルク「ほら遅れんぞ」
「待ってシルク！あの靴が取れないの！」
シルク「仕方ねーな…」
ちょっとお高めのよそ行きの靴が履きたかったのだが、私の背ではしまってある所にぎりぎり届かない。
そんな私を見かねて、シルクが代わりに手を伸ばしてくれた。
シルク「はい。早く履けよ？」
「ありがとう！助かった！」
こういう時に、少ないようで多いシルクとの10cmの差を感じる。
女子の憧れのシチュエーションに、ちょっと鼻が高くなったり。
車はないので、あの人の事務所へはタクシーで向かう。
帰ってくるから、と事務所に入ることを許可されたのだ。
「優さん、変わってないといいね」
シルク「お前への気持ちは変わっててもらわないと困る」
「それは……変わってないかもしれない」
シルク「……ﾁｯ」
少しの笑顔を浮かべながら舌打ちをするシルクに、私は微笑んだ。
「なんで私のことなんか好きになってくれたんだろう」
シルク「いや、可愛いからだろ」
「ないないwシルクにも釣り合ってないのに」
謙遜する私を、シルクはじっと見つめている。
「な、なに……照れるんだけど」
シルク「いんや？べつに」
素っ気なく窓の外へと視線を移してしまったシルク。
何が言いたいのかさっぱりわからなかったが、可愛いと言ってくれたのはすごく嬉しかった。
「可愛いって、嬉しかったよ？」
私がそう言うと、シルクは一瞬こちらを向いて
シルク「……そっか」
とこぼしてまた、視線を戻した。
今日は会話が上手くいかないな、と少しだけ一人悲しく思っていると、私の左手に温もりが触れた。
驚いて見ると、それはシルクの右手だった。
顔は窓の外を向いているが、腕だけは私に触れている。
普通に手を繋ぐよりもなんだか恥ずかしかったが、幸せを感じて私も窓の外を見た。
事務所に着くまでの間、シルクとはそれから１度も言葉を交わさなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 428人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
未人(プロフ) - くるるMAさん» おおw早いw頑張ります！w (2018年1月3日 18時) (
レス) id: c2cac711d1 (このIDを非表示/違反報告)
くるるMA - スマホから！早速買ってもらいました！今年も妄想と更新頑張ってください！ (2018年1月3日 16時) (レス) id: cfcd9e6d3d (このIDを非表示/違反報告)
くるるMA - 前にやってたやつ的なやつか…リベンジしてみるわ。忙しいのに返信ありがと (2017年12月13日 20時) (レス) id: 8a6d8ed592 (このIDを非表示/違反報告)
未人(プロフ) - くるるMA さん» そうねぇ...やっぱRPGのパロじゃない？ (2017年12月12日 19時) (レス) id: c2cac711d1 (このIDを非表示/違反報告)
くるるMA - タブレットから。久々に来たら結構更新されててびっくり。全然関係ないんだけど、私が小説を書くならどんな小説がいいと思う? (2017年12月12日 18時) (レス) id: 8a6d8ed592 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：未人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mijinnhomupe/
作成日時：2017年4月29日 20時
