宝物×宝物＝ part２

シルクside　最低だな ページ12

彼女は反論せず、俺も何も言わないので、気まずい沈黙ができてしまった。




普段の俺なら、
「この空気やりづれぇ〜」
などと言って場を和ませていただろう。




だが今は当然、そんな気分じゃない。






俺は小さく息を吐き、話を終わらせることにした。





シルク「もういい、お前の言い訳なんて聞きたくない」




"言い訳なんかじゃない"



どうせそういうことを言いたいんだろ？




わかってるんだって。俺は。



自分がいかに最低かなんて。


とっくに。







せめてもの罪滅ぼしのため、心にもないことを言って励まそうとする。




シルク「お幸せにな」








だがその言葉は、今回の場合、単なる皮肉としかならなかった。









Aが泣き出してしまう前に、家に帰ろう。




たいして長くもない玄関までの道のりを、俺は早足で済ませ、躊躇いもなくAの家を出た。






どうして俺は、あいつがやりたいことを応援してやれないんだろう。




いつもいつも、壁となっているのは、俺。




その事実は揺るがない。





あいつが歌手になりたいって言ったときも。





今回だって。







あぁ、俺ホントに最低だな。





最低だ。









___________最低じゃん。









家に帰ってまずしたことといえば、靴を脱いだくらいで。








それ以外は、ただ息をしているだけ。






大切な人を傷付けておいて、






生きているだけ。








死にたい訳じゃない。





死んで罪を償おうなんて、そこまで考えてない。






ただ、自分のしてしまったことを、悔やむだけだった。






例え関係が壊れても？







そんなの嘘だろ





なぁ、嘘だろ？









あいつとの関係が壊れたら、





俺は






俺は________

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