Flight LOVE【R.Y】

第18便 ページ18

ニット帽にマスクをしていて、見えているのは目元だけだけど、

おでこを隠す前髪は、間違いなく今日の朝テレビでチラっと見た山田くんだった。





向かいの席に誰かいるようだけど、ここからじゃ柱に隠れてよく見えない。






「おーい？大丈夫？」





ぼうっとしていた私を、現実世界に戻すかのように、優美は声を張る


「あ、ごめん笑 大丈夫、大丈夫！」




平然を装うけれど、私の心臓は鳴り止むことを知らない。



「何ー？寝不足？ちゃんと寝なよ？」


「う、うん笑 ありがとね！」




自分の方が、寝不足だろうに…

なんて思いつつも優しい優美には感謝しかない



「ねーねー、これとこれどっちがいいかな？」


そうやって、普通のミルクレープと、ショコラケーキを指さして言う


「どっちでもいいんじゃない？」




こうやって話している間にも、今山田くんが何をしているのか気になって仕方ない


イケメン好きの、優美が気づかないのだから、ただのそっくりさんって事もあるのか

なんて一人で考えながら、メニューを見つめた。





「いい？決まった？」




「あ、うん！」


結局、山田くん…が頼んだいちごクリームのミルクレープにしようと決めた






「ご注文はお決まりでしょうか」


「ショコラケーキ1つと、、」


そこまで言うと、優美がこちらをチラリと見てきた



「あっ、えっと…いちごクリームのミルクレープ1つ。」



「かしこまりました。失礼致します。」



礼儀正しく戻って行った店員さん




「……？A？行かないの？」


「え？」


「ここ、ケーキ1つに対して、1人一杯までコーヒー無料だよ？」




あっ、忘れていた。


これがまた運がいいのか悪いのか。


コーヒーを入れる機会があるのは、山田くんたちの隣の通路だった。

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