6.Observation ページ9
その後、第1段階の偵察として、柵の先を見に行くことになった。私も着いてきて、壁を見たのだけど……それは、思っていたよりも高かった。
「エマ、どう思う？」
「硬くて、丈夫。継ぎ目すらなくて、こんなの普通登れっこない。……って、思わせる塀なんだろうけど、私たちならロープ1本あれば上れると思う！」
『1本かぁ……。ロープの上手い使い方はよく分からないから、2人に任せた！ でも、ロープさえ下がってれば私も行けそうかな』
「鬼はいなくて、見張りはママ1人。大丈夫！」
そろそろ時間のため、偵察を切り上げてハウスへ戻った。すると、マルクが泣きながら走ってきた。ここは、ママが発信機の存在を暗に示して、門へ行った者に警告をする場面だ。でも、私がリトルバーニーを持って帰ったから、普通に終わるよね……？
「ママー！ 森でナイラとはぐれちゃった！ どうしようぅ……」
「……大丈夫よ、みんなここから動かないでね」
しかし、ママはその場で懐中時計を確認し、歩いて行った。どういうこと？ バレてるの……？
*****
「まずはロープを手に入れよう。今日の夜10時に廊下で──」
「待って！ 他にもカメラとか盗聴器とかあるんじゃ……」
「大丈夫。一通り調べたけど、それらしき物は無かったよ」
『仕事はや……』
「やっぱり、もうママにはバレてるのかな……。私たちが門に行ったこと。それに、今日塀まで行ったことも……」
「行ったことはバレているだろうね。わざわざ時計を確認してから探しに行くなんて、そこに何かあるって言っているようなものだ。でも逆に、そんな回りくどいことをしてるくらいだから、きっと誰が行ったかまでは特定出来ていないはずだよ」
「なるほど……」
そして、ノーマンはドンに呼ばれ、行ってしまった。
「コニー……」
『…………』
すると、ママが突然現れた。
「どうしたの、エマ。顔色が良くないわ」
「……なんでもないよ！ ただ私も、もう時期ハウスを出るんだと思うと、寂しくなっちゃって……」
「エマはハウスが好き？」
「ハウスもママもだーいすき！」
そうしていると、レイが食事の時間を知らせるベルを鳴らしたため、緊迫した空気は少し緩んだ。
「エマ、A。行こう」
戻って来たノーマンの一声で、私たちは食堂に向かおうとしたのだが、原作とは違うことが起こった。
ママはそのあと、何も言わなかったのだ。
Observation ―観察―
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作者名：時雨 | 作成日時：2022年6月22日 22時
