4.Plantation ページ7
その後、掃除をしていると、忘れ物のリトルバーニーをエマが見付けた。
「コニー！？ 嘘でしょー！？」
『ありゃ』
「え、もう行っちゃったよ？」
「まだ間に合う。さっき、風呂場の窓から門の灯りが見えた。ママも戻って来てないし、まだコニーは出発してないと思う」
レイがそう言ったことで、ノーマンとエマは、規則を破って門まで届けに行くことを決めた。
『……私も行っていい？』
「え」
「珍しいね」
いつもなら、こういうとき私は一緒には行かない。だからノーマンとレイは驚いているようだ。
原作では、コニーの出荷を見たエマとノーマンは、リトルバーニーを忘れてきてしまう。それが原因、秘密を見られてしまったことをママが察してしまい、脱獄が困難になるのだ。だから私がそれを回収する。
『たまには私も冒険したいよー』
「とにかく急がなきゃコニー行っちゃうよ！」
「そうだね。行こう」
「…………」
*****
門へ到着し、コニーやママを探す2人。しかし、人の気配は感じられない。
「トラックの荷台に乗せておいたら分かるかな？」
そう言ってエマは荷台を覗き、ついにそれを見てしまった。
「ノ、ノーマン……」
異変に気づいたノーマンと、それに続いた私もその姿を目にする。もう動くことのないコニーの姿。突き刺さった赤い華の美しさが、その残酷さを際立てていた。
誰かが来る気配を感じ、私たちは何とか動いてトラックの下に隠れた。
「誰かいるのか。……オイ、今声がしなかったか？」
「気のせいだろ」
そして、ついに鬼が近付いてきた。初めて見る鬼の姿に、覚悟していた私でも体が強ばる。声を出してしまわないように、両隣にいるエマとノーマンの口を塞いだ。
「美味そうだなぁ……」
「くそッ、指の先だけでもダメかなァ」
「馬鹿、大事な高級商品だぞ？」
すると、上司らしき鬼が現れた。
「また6歳……。この所、“並”の出荷が続いている。が、ようやく上物以上を“収穫”出来るな。イザベラ、そろそろこの
「……畏まりました」
私も
「……待て、何か臭う」
気付かれそうになり、ノーマンに手を引かれた。私は、2人が忘れているリトルバーニーを掴み、ここから逃げ出した。
Plantation ―農園―
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作者名：時雨 | 作成日時：2022年6月22日 22時
