46.Escape ページ49
『……あ、レイ。そういえば、仲直りしてなかったよね』
「仲直り？ ……お前らが隠し部屋行ったときのか」
『うん』
「でもあれ、“左利きの方”がやったんだろ？ ドンとギルダが行っても危なくないってわかってたならわざわざ着いて行く必要ないし」
『まぁそうなんだけど……。そもそも、ずっと黙ってた私も悪いし……』
「……あのときはお前のこと、すごい怪しく見えてたよ。突然俺がスパイだって見抜くし、あいつらの危険な行動止めないし」
『う。ほんとにごめんなさい……』
「正直、お前も置いて行った方がいいんじゃないかって思ってた」
自分を犠牲に、エマとノーマンを逃がす。連れて行ってもドンとギルダまで。そう考えていたのなら、確かに私みたいな不安要素は置いて行くべきだ。
「でも……Aには生きて欲しいって、迷った。……ノーマンに『情で判断をねじ曲げるな』って言っておいて、ズルいよな」
『そんなことないよ。だって、本当は誰も死なせたくないでしょ？ そんなのみんな一緒だよ』
「…………そうじゃなくて……いや、違くはないけど──」
「レイ、もう走れるよ！」
と、振り向くと、声の主はクリスティだった。見ると、みんなはもう走り出す準備を終えていた。
「レイ？」
「……ああ、行こう」
そして、私たちは走り出した。
これから始まるのは、鬼のいる世界でのサバイバル。絶対に、ハッピーエンドにしてみせる……！！
((“この子”……わたしより人生経験あるのに、鈍感……？？))
Escape ―脱出―
終わり
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作者名：時雨 | 作成日時：2022年6月22日 22時
