42.Guilty-feeling ページ45
1月14日の夜。脱獄決行の当夜だ。ママや年少者にバレないよう、こっそり準備を始めているみんなを横目に、私は食堂へ向かった。
「12年。待ちに待たせたご馳走だ、俺は……。それを、今夜奪り上げる。お楽しみの、収穫……目前で……」
食堂の前に着くと、扉の向こうでは、レイがエマに自分の作戦を語っていた。でも、なんか、迷ってる……？
「レイ?」
「俺は、家族をずっと見殺しにして来たんだ……。みんな、いい奴らだったのに。優しい人たちだったのにな。……だから、これでいいんだよ、“A”」
そう聞こえて、私はバンッと扉を開けた。エマは、私がここにいると思ってなかったみたいで、びっくりしている。
「えぇ！？ A！？」
私が、「レイも生きて出られるんだよ」って言ったから、レイは迷ってるんだ。
『それは、私も一緒だよ。レイ。でも、死ぬのは──自己犠牲は、償いじゃないよ』
見殺しにした罪悪感。自分を犠牲にしてでも生きていて欲しい。それで終わりにしたい。……その気持ちはわかる。でも、生きる方法がある。生きていなきゃできないことがたくさんある。
『それに……私、言ったでしょ。「1番生きていて欲しいのは、エマとノーマンと、
「でも──」
「ノーマンからの伝言。『ここじゃなくてもまだ死ねる。いいモノ見せてやるから、黙って来い』」
「は！？」
エマとノーマンも知っていたことに驚き、「話していたのか」と私の方を見たレイに、私は首を振った。
『ノーマンは自力』
「──悪いけど、レイのこと、死なす気ないから！」
すると、扉がノックされて、トーマとラニオンが荷物を持ってきた。
「頼まれてた物、持って来た」
「あと、みんなもう準備はできてるぜ！」
Guilty-feeling ―罪悪感―
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作者名：時雨 | 作成日時：2022年6月22日 22時
