【約束のネバーランド】気がついたら現代のJCから農園の食用児になってました。これって転生？――When the……【レイ】 (ページ43)

今日:12 hit、昨日:26 hit、合計:1,308 hit

40.Another ページ43

翌朝。熱は引き、意識もちゃんとしてて、コンディションは良い。
　思ったのだが、この「風邪の症状は一切出ない熱」は“本当のA”──いや、この呼び方はもうやめよう。“もう1人の私”が頻繁に出てくるようになってから起こり始めたことだ。だから、その辺が関係しているんじゃないだろうか。
　そんなこんなで医務室から出ると…………目の前にママがいた。

((うわぁ……私、今思いっきり晴れやかな顔だったよね……？))

　まだ諦めたフリは必要だし、そもそも昨日の会話も秘密にしなければならないのに。

『えっとー……おはよう？』

「……おはよう、A。もう元気になったの？」

　……もうこのまま行こう。

『うん、元気になったよ！昨日はごめんなさい。熱のせいでちょっと混乱してて……』

「そう」

　「私のことに気が付かないくせに」なんてことを言ってしまったが、実際私は、この農園の飼育監であることを含めてもママのことを嫌ってはいない。イザベラ(ママ)の過去は知っているし、「エマのように抗い続けろ」なんて私には言えない。それに……全てを管理されて、厳しい環境で育ったこの世界の大人は、本当の意味では“大人”ではないのかもしれない。

『じゃあ、私も食堂に行くね』

　訓練や準備に、私は必要ない。だから、ママの警戒心を煽らないよう、なるべくママと年少者の目があるところで、ギルダたちとは個別に接触しないよう過ごすとしよう。

*****

　交代人格は、自分を守るために生まれることが多い。でも“もう1人の私”はむしろハウスの秘密がわかってから、その行動力が強くなった。不安で怖いからこそ、自分で動いて家族を助けようとしていたんだ。

───────────────────
あなたへ
　今まで、あなたの存在を気にしないで来てしまって、ごめんなさい。以下に、私の知っている本当のこと、そしてレイと考察した今の私たちの現状を書きます。内容が内容なので、読み終わったら燃やすなり水で滲ませるなりして処分してください

・
・
・

──ということです。私の記憶は信じられないかもしれないし、あなたにそれを伝えなかったことを怒るかもしれない。ごめんなさい

　今後、あなたと私がどうなって行くかはわからない。でも私は、ちゃんと向き合いたいと思っています

・
・
・

Another ―もう1人の―