2.Game ページ5
『はーい、捕まりましたー。さっすがノーマ〜ン』
「あはは、何それ？」
あまりにもあっさり捕まり、ちょっとふざけてみた。そして、ノーマンはすぐに次を捕まえに行ってしまった。
捕まった子は大きな木に集まるため、私も戻ると、まだドンとギルダも居なかった。
『2人にも負けちゃったか。……レイ、何読んでるの？』
鬼ごっこに参加せず、木の陰で本を読んでいるレイの元へ向かう。
「これ」
『ふーん。相変わらず本好きだね』
本当は、レイが本を好きじゃないこと、エマとノーマンを脱獄させるために、何年も前から必死に準備していることも知っている。私だってそれに協力したかったけど、私には秘密を知るきっかけも無い。2人目の内通者を申し出るのも不自然だし、私にできることはほとんど無かった。
そんなことを考えつつ、レイの隣で本を横から眺めていると、最後まで残っていたエマが捕まって戻って来た。
「また捕まっちゃったー！ 悔しいぃ……。何でノーマンあんなに強いの！？」
「問題、ノーマンにあって、エマとAに無いものは？」
「うーん、計画性？ 落ち着き？ 圧倒的頭の良さ？」
「戦略だ」
ごめん、レイ。私にはその戦略を立てる頭脳も無いんだ。
「ノーマンにとって鬼ごっこは、体をフルに使ったチェスみたいなもんだ。戦略を立てて、状況を分析。相手の手を読む。そうやって動いてるから強いんだよ。……だろ？」
「まあね。でも、レイは僕なんかよりずっと策士だよ」
「買いかぶんなよ」
確かに策士なのはレイの方だと思うけど、ノーマンはその先を行ってる感じなんだよなぁ。
『まあでも、狡猾なエマってのも想像出来ないけどね』
「ちょっと！？」
「A、お前はもっとその頭脳を活かせよ」
『……検討します』
「おい」
と、話していると、ドンがノーマンにリベンジを挑んだ。
「ノーマン、リベンジだ！ 次、ノーマン以外全員鬼！」
「せこっ」
*****
そして、ノーマン以外全員鬼の鬼ごっこが始まったのだけど、いつの間にかエマとノーマンは柵の先をぼんやり眺めていた。
「おい、やる気あんのかよ！ お前ら」
「ごめん。……でも、今日はもうよそう。あんまり遅いとママが心配するし」
「あれ、もう終わり？」
「……いつか、出てくんだな。こっから」
ナットやフィルも集まり始め、ノーマン達に釣られて柵の向こうを見たドンが言った。
Game ―遊び―
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作者名：時雨 | 作成日時：2022年6月22日 22時
