37.Revelation ページ40
「その数日後から……お前の性格変わったんだよ」
そうか。レイは幼児期健忘がなかったから、その頃のこともよく覚えてるんだ。
「この……人の服を掴む癖。昔よくやってたけど、その頃からやらなくなった」
言われて気が付いたが、無意識にレイの袖をつまんでいたらしい。
「──けど、今日の昼間にやってるの見て、思い出したんだよ」
『…………』
「あとは、利き手。昔は左利きだったけど、いつの間にか右になってた。でも、テストのときだけはずっと左だった」
『お、おぉ……。すごい見てるね』
「──お前、昔から先読みするのが得意だったよな。……本当は、ハウスの秘密も、そのときから気がついてたんじゃないのか？ でも、それが負担になってて、そういう風に──」
『違うよ』
レイは凄いな。現実的に考えられる範囲では、1番今の私の状態にあてはまっている予測を立ててきた。でも──
『……違うの。私ね、本当はAじゃないんだ』
「は？」
『前世……なのかな。それっぽい記憶があってさ。しかも、多分異世界』
もう話してしまおう。信じて貰えなくても、知って欲しい。あとは時間が経つのを待って、決行するだけだし、話すだけなら……。
『その世界ではね、この世界は漫画だった。主人公は、エマとノーマンとレイ。……だから、私はこのハウスで起こることを、読者の目線で知ってたの』
私が“A”になる前は、2017年の日本で、中学3年生をやっていた。だから、「『約束のネバーランド』は実際にあったことを元にした作品」という可能性はない。物語が始まる2045年より前にあの漫画があったということは、例え地名などが同じでも、ここは別の世界なのだ。
突拍子もない話だけど、とりあえずは聞いてくれるらしく、レイは黙っている。
『階段から落ちた話は知らなかったけど、多分きっかけはその時かな？ 異世界に生きてた私は、気が付いたら、5歳の“A”の中にいた』
そして私は、テストの時などで感じていた“本当のA”の存在のことなども説明した。
Revelation ―吐露―
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作者名：時雨 | 作成日時：2022年6月22日 22時
