【約束のネバーランド】気がついたら現代のJCから農園の食用児になってました。これって転生？――When the……【レイ】 (ページ36)

今日:17 hit、昨日:1 hit、合計:1,287 hit

33.Fixing ページ36

『エマッ……！！』

　目の前で、ママはエマの足を折った(・・・・・)。

「っあ゛あ゛あ゛あ゛ッ！！」

「shhh(シー)……よしよし、大丈夫よ。痛くない、痛くない」

『大切な……商品なんじゃないの？』

「ええ、そうよ。あなたたちは、特別なお方しか食べられない、最上の食料(こどもたち)。だからこそ、守らねばならない」

　ママの隙は作れない。エマが負傷してしまっては、脱獄へ行動を起こすこともままならない。ノーマンの出荷は……避けられない。
　この場でわたしができることはない。わかってはいたけど、わたしの足はママの方へ向いた。
　しかし、1歩(ぽ)歩いたところで、“わたし”の意思で足は止まった。

*****

　この一連の出来事は本来、昨日の下見の前に起こっていたはずのものだ。もしかして、タイムリープものとかでよく見る、歴史を修正する力……のようなものなのだろうか。思えば、私の髪飾りだって、あの門に落としてきたとき以前は、1度も勝手に落ちたことはなかった。

((なんて、ノーマンを見殺し(・・・)にする言い訳だよ、こんなの……))

　“本当のA”が出てきたのは、多分ノーマンを心配したからだろう。でも、あの状況ではママの隙を作ることは無茶だったから、止めた。どうやら、“本当のA”が強い意志を持って行動してないときなら、私からでも交代を自由にできるらしい。
　まぁ、そもそも──

『ノーマンさ、元々逃げるつもりなかったでしょ』

　と、後ろに立つノーマンに言った。ママは荷物を奪い──ポケットに隠された、発信機を壊す機械は無事だ──、怪我をしたエマを運んで行き、追いかけてきたレイたちもハウスに戻ろうと少し前を歩いている。

「気付いてた？」

『うん。代わりに他の誰かが出荷されるのは、絶対に避けたいだろうなって』

　ノーマンは、自分の出荷が知らされた時点で、絶対に逃げないんだ。家族のために。エマとレイのために。

「……僕は間違えるわけにはいかない。誰一人死なせないために」

Fixing ―修正―