28.Preview ページ31
──No side──
「万一、俺がママを引き付けられなかったら合図する。
レイは最後にそう確認して、ハウスの中へと戻って行った。
「脱獄決行は、6日以内。でも、できるなら明日決行したい」
「発信機はもう壊せる。あとは、この下見を残すのみ」
「行こう。下見を終えれば脱獄だ」
そして、エマとノーマンは森へ駆けて行った。
*****
全速力で走った2人は、
「エマ……？」
心配したノーマンは、エマの取り落としたロープを使って後に続いた。
「……ノーマン」
「崖……。シスターは嘘をついていなかったし……鬼も、僕らをナメてはいなかった……」
「ここからは、逃げられない……？」
「……いや。ハウス周辺を航空機が飛んでいるのは見たことがない。物資は運ばれて来ているんだから、どこかに道はあるはずだよ。先まで行ってみよう」
そして、彼らは塀の上を走り始めた。しばらく走ると、今まで真っ直ぐ続いていた塀が、鋭角に折れている場所にたどり着いた。また、その先には塀を対称に、全く同じ景色が広がっていた。
「この先、“本部”なのかな？ ママが連絡を取ってる……」
「いや……もしかしたら……」
*****
──A side──
熱が出てから、約1日半。問題なく動けるくらいまでには回復した。それ以外の症状は全くなく、風邪でもなさそうだったことから、私は普通に過ごしている。
そして、さっき知って驚いたのだが、今日の日中に5人は塀の外の下見を成功させたらしい。聞いた話によると、作戦内容やそこから分かったことは原作通りだったため、つまりレイは無事にママを足止めし、その間にエマとノーマンは塀に登って塀と崖の先を見てきたということだ。
……ところで、原作でレイがママを足止めするのに使った方便は「ノーマンが毒殺を企んでいる」というものだった気がするのだけど、今回はその主語が私になっただけで、同じことを言ったのかな……。ドンたちも除草剤盗んだって言ってたし。
ともかく、初めて原作から大きく変わった1日となった。
Preview ―下見―
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：時雨 | 作成日時：2022年6月22日 22時
