27.Fever ページ30
「入って来たよ、秘密の部屋。地下室だった」
「！ どうやって入ったの？」
「ドンが……鍵を掏って……」
「ママから！？」
「馬鹿なことをしてくれたな。Aも……何で止めなかった」
『…………』
隠し部屋に警報とか付けるくらいなら、門や壁にもつけるはずって言ってたよ、とでも言えばいいのだろうか。誰がって、“私”なんだけど。
「お前……
『！』
“仲間か裏切り者か”。そういう意味でレイは言っているんだろう。でも、今の私には別の意味に聞こえた。“A”は、どっちなんだろう。私は、偽物なのだろうか。
「おい、どこ行くんだよ？」
『……。大声でママたちに気付かれないようにね？』
そう言って、私は子供部屋へ戻った。
*****
──No side──
翌朝。ドンとギルダにつかれた嘘を巡った喧嘩は解決し、改めて5人は脱獄に向けて動きだした。しかし──
「Aが、風邪？」
「うん。昨日、部屋に戻ったらもう寝てたんだけど、今日は起きるのが遅くて。他の症状はなかったけど熱があるみたいだったから、ママに伝えてきた」
「じゃあ下見は……」
「
*****
──A side?──
正確な日数はわからないけど、
そろそろ原作だとノーマンが出荷
されてしまう日。下見もあるのに、
動けない……。
定時連絡が地下室。その時間なら、
ある程度はママの目を盗んで行動
できる？
シスターとの接触、今日だよ
ね……。大丈夫かな。
今までの家族は、みんな殺され
ていた。“わたし”は直接話さなかった子もたくさんいた
けど……。
“私”、このまま
Fever ―熱―
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作者名：時雨 | 作成日時：2022年6月22日 22時
