24.Dividing ページ27
「でも、そっか……。ずっと、知ってたんだね。辛かったよね……」
翌日、ノーマンの説明によって、エマも内通者についての事情を知った。
「でも、1個いい？ 発信機の実験……私たちのために、誰か犠牲にしてないよね？ そのおかげで今、全員で逃げられる。でも、そういう
エマの“線引き”という言葉を聞いて、あることに気が付いた。
これからその子が死ぬことが、悲しくなかったわけではない。それでも、一度見たことがあるアニメを見ながら、「あぁ、そうだ。この子はここで死んでしまうんだったね」と思うように、そういう運命だと受け入れていた。レイの苦しみも、
「──A？ 大丈夫？」
考え事をしていて、喋るのを忘れていた。いつの間にかエマはレイとの話を終わらせて、みんなの元へ戻っていた。
『あ、ごめん、大丈夫。それにしても、あのママ相手に二重スパイなんてね……。危なくないの？』
「安全ってことはないけど、それで6年やってきた」
『そうだったね』
「そうだ！ ハウスに戻ったら報告があるの！」
と、戻ってきたエマが言った。
*****
「それで？ 報告って？」
「改めて、ママを観察してみたの。それで……ママは、毎晩8時前に消える」
「消える？」
「そう。ハウスのどこにもいなくなる。結論から言うと、このハウスには秘密の部屋がある」
「けど、それ何のため？」
「本部に連絡するための部屋だろう」
「……入ってみようぜ。なにか手がかりが掴めるかもしれない」
「待て待て。そこまでするメリットは無い。発信機もあるし、その部屋のセキュリティもわからない。リスクの方がデカイんだよ」
「だね。今はとにかく、下手な動きで墓穴を掘らぬこと」
「ママはもちろん、シスターにバレたら即アウトのつもりで動け」
そう説明を受けても、2人は納得が行っていない様子だった。
『普通にしてたら大丈夫だよ。……と、そろそろ夜ご飯の準備しなきゃだね。行こ。いつもどおり、楽しそうに』
Dividing ―線引き―
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作者名：時雨 | 作成日時：2022年6月22日 22時
