18.Reason ページ21
何となくみんなと一緒にいる気分になれなくて、入浴後の自由時間は図書室に来た。
でも、私は何に悩んでるんだろう。私の頭はそんなに良くないんだから、優秀な“本当のA”が加わったらもっと力になれるはず。悪いことはないのに……。
「A」
『わっ！ れ、レイ。どうしたの？』
考え事をしていたから、レイが来ていたことに気付かなかった。
「鬼ごっこの後から、お前なんか悩んでんだろ」
『い、いや、別に？』
「お前、1人になりたい時はいつも図書室に居るけど」
『え、知らなかった……。でも、本当に何でもないよ。疲れただけ』
「ふーん。……ところで、鬼ごっこ中どうやって逃げてた？ 最後まで残ってたよな」
「ところで」って言ったけど、多分こっちが本題だろうな。やっぱり、私がシスター相手に逃げ切れたのは変なんだ。でも、どうやって説明しよう。追跡を撒いたのは“本当のA”だし、入れ替わる前に私が使っていたのは原作知識だ。どちらも、今ここで説明して信じて貰えるような内容ではない、
『最初は、狙いが年少たちだって分かったから人が居ない方に隠れてて、捕まりそうになったときはエマたちと会ったおかげで撒くことができたの』
これで誤魔化せただろうか。嘘をつくときは真実も混ぜた方が騙しやすいって聞いたことがあるけど、これでいいのかな。
「お前、やっぱなんか隠してんだろ。それに、いつからハウスのこと知って──」
『あ、そうだ。あの後ママにはなんて報告したの？』
「は？」
『一応、私が計画を1人で進めてるってことになってるのなら、なんでシスターは来たんだろう。やっぱり、私とレイが嘘ついてるって疑われてるのかな？』
「…………はぁ。……疑ってるって言うより、裏切りの警戒だろ。ママは、俺たちが嘘ついてようと裏切っていようと、間接的に制御しようとしてるんだよ」
『そっか……。その制御のためにシスターが必要だったんだね』
私はあからさまに話を逸らしたけど、レイは無理には追及しなかった。それでも、やっぱり怪しんではいるんだろうな……。
もう言ってしまおうか。いや、でも……。と考えている内に時間は過ぎ、結局就寝時間になってしまったのだった。
Reason ―理由―
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作者名：時雨 | 作成日時：2022年6月22日 22時
