17.Dependence ページ20
──No side──
(何？ 今の……)
シスター・クローネは、逃げるAを追いかけながら困惑していた。
(直前で避けた……動きを読まれた？ でも、さっきまでの動きは、そんなことができるようには見えなかった。……実力を隠してた？ いや、鬼ごっこでわざわざ近付かれるまで待つ必要は無い……)
まぐれだったのかとも思いもう一度手を伸ばすも、Aは再びそれを躱す。更に、それを追いかけようとクローネが見た先には、Aは居なかった。
(消え──違う、逆方向！ ……私が予測したAの逃げる方向を、更に予測した！？)
そうしている間にAは一旦クローネの前から姿を消した。仕方なく再び子供たちを探し始めたクローネはフィルを見つけ、フィルを抱えて走り出したエマを追った。
*****
──Aside──
「あっ！ Aいたー！」
「Aー、20ぷんたったよー？」
『…………』
フィルとマーニャに声をかけられると、“私”の意識は表に戻ってきた。
「どうしたの？ ぐあいわるい？」
『……ううん、大丈夫。迎えに来てくれてありがとう』
「すごいね！ さいごまで残ってたの、レイとノーマンとAだけだよ！」
『……うーん、私が逃げれたのは偶然かなぁ。あはは……』
一体どういうことなんだろう。いつも“本当のA”が表に出てくるのは、テストの時だけだった。なのに、どうしてシスターとの鬼ごっこで出てきたの？
その後みんなの所に戻ると、最後まで残ったことへの称賛だったり、普段とのギャップへの弄りを受けたけど、私は上の空状態だった。考えていることの分からない存在が、自分が普段動かしている体を動かすというのが、少し心地が悪かったのだ。
Dependence ―憑依―
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作者名：時雨 | 作成日時：2022年6月22日 22時
