16.Overfishing ページ19
20分勝負でシスターが鬼というルールに決まり、ひとまずエマたち3人と一緒に森へ来た。でも、どうしようかな……。シスター相手にしばらく逃げられるのなんてこの3人だけだし、正直私が何をやったってすぐ捕まるのは目に見えてる。
「さて……。20分という時間制限つきだから、おそらくシスターは、まず僕らを探す。狙いはおそらく年長者6人だろうからね。そして僕らを狙う途中で、見つけた弟妹を根こそぎ捕まえていく……」
「敵の動きはこんなところだろうな」
『みんな別々に動く？』
「状況に応じて、だな。お前もどっか行きたけりゃ行っていいぞ。さっき言った、敵の位置を把握するの忘れんなよ」
『りょ、了解！』
シスターは体力すごいから、把握したところで次の瞬間には移動してそうだけどね……。とりあえず、これも経験ということで私なりにちゃんとやろう。
そして、私は3人と別れて走り出した。序盤のシスターは、一度に大勢を捕まえようとする。だから、なるべく人が居ない方を目指して移動した。途中、シスターが置いた年少者向けの罠を見かけて焦ったけど、その時は別の場所に居たらしく、見つからずに済んだ。
でも、きっとあらかた捕まえた後に残りを探そうと思ったら、私の痕跡は見つけられちゃうだろうな……。と考えていると、本当に背後から物音が聞こえた。
「見ぃつけた」
そう言われた瞬間に反対方向に駆け出した。スタートダッシュは得意な方だ。
『し、シスター！ それ、怖いですよ……！？』
そして、シスターが速すぎる。鬼ごっこだと言うのに、50m走かってくらいのスピードを出さないと、追い付かれる。しかも一応は距離を保って走れているはずなのに、私の選ぶルートを先読みして、私の分からなかった最短距離を来るせいで段々と距離を詰められている。
「あなたの弱点は“応用力のなさ”。だから、テストでは
そう言って、シスターは私に手を伸ばした。しかしその手が触れる直前。後ろに引っぱられる感覚がして､私の体は勝手にその手を避けた。それは、いつもテストの時に起きるあの現象だった。
Overfishing ―乱獲―
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作者名：時雨 | 作成日時：2022年6月22日 22時
