15.Training ページ18
そして、エマはみんなを鬼ごっこに誘って回った。いつもの場所で待っていると、ギルダが来た。
「誰が鬼やるの？」
『今日はノーマンがやるって言ってたよ』
「え、ノーマンが？ こないだはみんなすぐ捕まっちゃったわよね」
『だからこそ、かもね？ ノーマンが、どう考えたら上手くいくのか教えてくれるってさ。きっと、相手になる人が全然いないから、ライバルを待ってるんだ……。最強は孤独だね……』
「何の話……？」
そして、ノーマンのレクチャーが始まった。まず初めに、ノーマンが注意すべき点をみんなに教える。ノーマンは足跡と音などの様々な痕跡を観察していることや、それらの痕跡を残しにくいルートの選び方といった、すごくハイレベルな内容だった。そして所々でエマが、そういう動きをする時の体の使い方を補足していく。……私の出番無いな。
「よし、じゃあ実際に行ってみよう！」
*****
その後、鬼ごっこに参加したものの、運悪くノーマンと早めに出くわしてしまい、始まって間もなく捕まってレイの所へ戻った。
『アンラッキーはともかくとして、何個もある痕跡に同時に気をつけなきゃいけないのが難しかったなぁ……』
「いや、アンラッキーだってどうにか出来るぜ」
『どういうこと？』
「ちゃんと相手の痕跡を見て、今どこにいるかを大体把握出来ていれば、偶然会うってことも無くなる。つまり、運に委ねるんじゃなくて戦略で確率を下げるんだ」
『なるほど……』
確かに、何かで読んだ気がする。「トランプをランダムで引いて狙った数字を引ける確率は4/54(=2/27)だが、それが買ったばかりのトランプだという前提を知っていれば大抵それは番号順になっている為、ほぼ確実に目的の数を引ける」……だったかな？ ノゲ〇ラで言ってた。つまり、そもそも運を関わらせないように頭脳を使うってことだ。
しばらくすると、突然レイが立ち上がって言った。
「おい、どこ行った！？」
『……シスター？』
「さっきまであそこ居ただろ。あいつらのとこ行ったのか……？」
レイの予想は当たり、しばらくするとエマ、ノーマンと一緒にシスターが戻って来た。みんなと仲良くなるために、シスターも鬼ごっこに参加したいそうだ。
「邪魔しに来たか？ もしくは調べに……」
「問題ない。僕らはみんなレベルの高い鬼ごっこで遊んでいるだけ。邪魔されることもない」
「敵を知るチャンスだよね！」
Training ―訓練―
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作者名：時雨 | 作成日時：2022年6月22日 22時
