13.Mortification ページ16
「紹介するわ。新しい妹のキャロルよ。そして、シスター・クローネ。ママのお手伝いに来てもらったの」
いつも通り食堂へ向かうと、新入り2人の姿があった。
「今日からここで一緒に暮らします。どうぞよろしく」
「3歳以下が16人……」
「敵は、もはやママ1人じゃない……。逃げにくくなった」
実力差を見せつけられた3人は、立ち尽くして戦慄していた。うーん、私は農園の秘密に納得していることになっているから、あまり緊張した様子を見せたくないな……。
『…………ねぇ、エマ。この子の髪、ちょっとエマに似てるね！』
「えっ。……確かに！」
ここはいつも通り振る舞っておこう。
『キャロル〜、よろしくね〜！ ……あ、シスターも！』
「相変わらずAは赤ちゃんが好きね」
と、ママが言った。
『こんな可愛いのに嫌いな人いる！？』
「人によるんじゃないかな……」
*****
「くそっ！ まずいな……鬼の配下がもう1人……」
自由時間になり、ノーマンは珍しく苛立ちを表に出していた。
「僕らは敵を迎え入れる準備をみすみすさせられていたってことだ。考えれば分かったのに……！」
「けどわかっても防ぎようはなかったろ。何をそんな……」
「防げたとかそういうことじゃない。ママはヒントをぶら下げていたのに出し抜かれた……。その時点で僕はママに負けているんだ！ あのママを超えなければ脱獄はない」
「だったらそれも狙いなんじゃね？ わざわざヒントをぶら下げたなら、それを見せつけるためっていう」
『それにさ、手伝いさせられてたのはドン、ギルダ、アンナ、ナットもそうでしょ？ まだママは狙いを絞りきれてないんじゃないの？』
と言うと、一瞬レイがこちらに視線を向けた。白々しいなってことかな。……君だって同じだからね！？
「相手のペースに乗ってやるこたねぇだろ。最後に逃げちまや勝ちなんだ。ってわけで、嘆いても敵を喜ばせるだけ。逆に喜んでやろうぜ。情報源が増えたってな」
「タダでは負けない」
「ああ、最後に勝つのは俺たちだ」
Mortification ―屈辱―
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作者名：時雨 | 作成日時：2022年6月22日 22時
