10.Secret ページ13
昨日、ロープを隠せそうだとあたりをつけた場所の近くに、2人はいた。
「ねぇ、ノーマン。レイには話しても大丈夫なんじゃないかな」
「それは僕も考えてた。レイならパニックになったりしないだろうし、物知りな分、機械にも詳しい。きっと力になってくれる。でも……」
ちょうど、レイを引き入れようと話しているところだったらしい。
「僕から話すよ。エマは一度戻って──」
「何で？」
「レイ！？」
「よっ」
今の会話を聞いたうえで、レイは物陰から出て行った。
「悪ィ、ツケてきた。いー加減気になるから問い詰めようと思って。ついでにこいつも連れてきた」
『ごめん、ノーマン』
そしてレイはさらっと私がいることも暴露したので、苦笑いで謝りながら近付いた。
「あの夜、門で何があった？」
「え？」
「だって、明らかに様子おかしかったし、間に合わなかったのにママにリトルバーニーを渡しもしない。何もねぇわけねぇだろ、吐け！」
「……話すよ。私たち全員、ここから逃げなくちゃならないんだ｣
そしてエマは、門で見たこと、あったことをレイに話した。
「鬼……農園……ママが敵……。ヤバくね？ つまり俺たちは、大事に管理された鬼の食料だったってわけか」
「って言うか、超すんなり信じてくれてるけど……」
「は？ 当然だろ。ノーマンがこんな間抜けな嘘つくかっての。エマとAならともかく」
レイは普段から鋭いから、ここまで物分かりが良くてもあまり違和感がない。逆に私は、既に知っていることでも少し考えてから理解したふりをしたり、質問したほうが良いかもしれない。反応には気を付けなくちゃ。ほら、シスター・クローネも言ってたしね。そこにいるだけで情報の塊だって。
「で、実際逃げるとなると問題は色々あるが……まずは人数だな。実現可能なメンバーに絞って──」
「待って。全員で逃げたいんだ」
「全員？ 冗談だろ？ 全部で38人、大半が6歳未満だぞ！？」
Secret ―秘密―
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作者名：時雨 | 作成日時：2022年6月22日 22時
