【約束のネバーランド】気がついたら現代のJCから農園の食用児になってました。これって転生？――When the……【レイ】 (ページ1)

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Prologue ページ1

「みんな、朝だよ。起きてー」

　施設(ハウス)の年長者の呼び掛けで目を覚ますと、隣に並ぶたくさんのベッドでも同じように目を擦っている子たちの姿が目に入った。

「おはよう、A」

『おはよう、ノーマン！』

　向かいのベッドのノーマンに挨拶を返して、ベッドを出る。私は一応(・・)、現在9歳である彼の1つ下だ。
　一応というのは、私の精神年齢の話だ。実は、私は前世の記憶がある。……いや、前世と言っていいかは分からない。気が付いたらこの世界に居て、既に5歳の“A”の中にいた。初めはかなり混乱したけど、今は何とかやっている。

*****

「Age8 Type1」

　やたらハイテクな機械によるテストの時間。この世界に来る前の私の頭の良さはそこそこで、当然天才ではなかったのだけど、未だ出荷されずに済んでいるのは理由がある。

「各問10秒以内に答えなさい。それでは始めます」

　という声がヘッドフォンから聞こえると、体が後ろに引っ張られるような感覚がした。気が付くと、真っ暗な中で視界の様子がぼんやりと見える。そして、私は何もしていないのにも関わらず、問題を次々に解いていく私の手がある。
　私が2回目にテストを受けた時からずっと続いているこの現象はおそらく、私がこの体に乗り移る前の──“本当のA”が体を動かしているのではないかと思う。
　“本当のA”も、このように普段の様子を見ているのだろうか。でも、この5年間でテスト以外の時にこうなったことが無いため、“本当のA”がどう思っているのは分からずにいる。

「それじゃあ結果を返すわね。ノーマン、レイ、エマ、A……満点(フルスコア)よ！」

　そして“本当のA”は、主人公3人組に迫る天才らしい。同じ体を使ってるんだから、私にもその頭の良さを分けて欲しい……。

「今日はちょっと調子が悪かったかなー？」

　と、呟いたのは、現在11歳の姉、スーザンだ。今日は満点(フルスコア)ではなかった様だけど、11歳まで残っているだけあって、とても優秀な人だ。ただ、記憶だとノーマンの出荷時に「満期の出荷はしばらくぶり」という話だった気がするから、彼女は近いうちに出荷されてしまうかもしれない。
　助けたいと思ったこともあるけど、レイのようにスパイをすることも出来なくて、成績(スコア)が良くない子に「勉強はしておいた方が良いよ」なんて、ちょっとしたことを言うくらいしかできなかった。