やさしいキスをして。【紫・黒】２

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あの時偶然にAを見かけ、なべに調べてもらった結果、俺とは絶対仲良くできないサツだと知りやっぱり関わるべきじゃない。

関わらせるべきじゃないってAに会わない事を俺は決めた。



その裏であの時、利用できると言ったなべにイケメンくんの事は任せておいたけど。





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『なにイライラしてんの、ふっか』

『べっつにー』



開店前のBARで既に出来上がりつつある俺は、おさまらないイライラを女の子たちを愛でる事で発散しようとした。

イラつく理由は二つ。

俺が最近ずっと探ってる事のシッポがなかなか掴めないこと、それとAに会わないと決めたこと。



『焦ると逃げるよ。相手も馬鹿じゃないから上手く逃げてるんだし』

『わーってるよ。ほらほら〜お姉さん方いっぱい飲め飲め〜』


涼太が呆れてるのは分かる。分かってるけど、焦るものは仕方ない。

だからこそその焦りからくるイライラを女の子に癒してもらおーとしてんのに、まあ癒されねえ。


女の子に手を出そうとする度に浮かぶのは、「辰哉さん 」と俺の名前を呼ぶ女の子の顔で、あの日から避けてるというのに人伝えに聞くには今も俺を捜してんだって。可愛くね？やばいよねー。









＿＿＿会いたい。


そう思ってしまえばもうおしめぇだわ。



で、こっちが必死に会わねぇようにしてんのに、俺から逃げられるようにしてやってんのに、あの子は自らヤバい沼にハマろうとしてやって来た。


ボロボロに泣きじゃくるだけのか弱い女の子だと思ってたのに、以外にもお姉ちゃんたちを押し退けて俺の足の上に跨って、「私を見て」なんて言って自ら俺にキスをして。


度胸あんじゃん？

でもね、やっぱり駄目よ。

俺にお前は勿体ないから、表の世界で楽しく生きな。


そう言って今度こそ会わないと決めたのに、Aが会いに来てくれた事で俺の機嫌は一気に良くなって正直戸惑って笑うしかなかったんだよねー。





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それから俺は自らの仕事もこなしながら例のことを探ってて、事が動いたのは俺とAがまた関わりを持つようになってから。




涼太が慌てて事務所にやってきて何事かと聞けば、Aが拐われるのを見掛けたって。


マジかって思って直ぐに俺は動くことに決めた。




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