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その夢が叶ったのはあれから二年後の事。
「やーっと完成!!」
頭に巻いていたタオルを取って、首筋に流れた汗を拭う辰哉さんの周りには沢山の子供たち。
"ゆきのとりかご"と書かれた手作りの看板を作って、最後に子供たち手形を押させてあげていた。
「あー、お前! 乾いてねぇのに触っちゃ駄目っしょ〜!?」
「あ、ごめんなさい」
しゅんと落ち込んでしまった男の子の目線に合わせた辰哉さんは、「まあ、これも手作り感出ていいか。笑」とくしゃっと頭を撫でる。
わーわー、と園庭を走り回る子供たち。
その輪から抜け出して私の隣にやってきた辰哉さんは、うーんと伸びをしお日様を眩しそうに見上げた。
「やっと始まりますね」
「だぁね。A、頼んだぜ?」
私はあれから幼稚園の先生を自らの意思で辞めた。
表には出さないけど、ずっと私を心配する辰哉さんを見ていたくなかったから。
だけど元々子供たちと接する仕事は天職だと思っていた私に、辰哉さんは新たにやり甲斐を与えてくれた。
「A先生! 一緒にドッチボールしよ!」
「うん! もう少ししたら行くから待っててね!」
此処でまた先生として、子供たちと過ごせることになった。
辰哉さんは此処を作っただけで、後は関わる気はなく遠くから見守るつもりだって。
「もう帰っちゃうの?」
「ああ、あんまいねぇ方がいいからな。ここの事は新しい園長とAたち先生に任せるわ。ま、困った事があればなんでも言って?」
「はい!」
裏社会で生きる彼が守りたいもの、それはここで暮らす子供たち。
だからこそ自分は関わらないようにと。
最後に子供たちを見つめ彼は大きな声をあげて手を振った。
「おーい、お前ら俺の女に手ぇ出すなよ〜!」
「なっ!?」
何を言うのかと思えばこの人は子供たちに何を言っているの!?
と、火照る顔を両手で隠していれば中高生の子供たちには散々冷やかされた。
「ふっか、やっぱりお前ヤバいな」
「あれが俺たちの頭かと思うと」
車に持たれて何か言ってる渡辺さんと宮舘さんも、今日が此処に来る最後の日だそうだ。
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ゆきんこ(プロフ) - スノ姫さん» コメントありがとうございます😌楽しんで頂けたようで嬉しいです😊 (2021年9月30日 6時) (レス) id: e6ed62ce5f (このIDを非表示/違反報告)
スノ姫 - 素敵でいい話しですね。少し感動しました。凄く良かったですよ。 (2021年9月30日 6時) (レス) @page23 id: 61c754dd4c (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あやかぽん。さん» あやかぽん。様!最後まで読んで下さり有難うございました(私が人工呼吸しに行きますね←)裏をかけて良かったのかな?(笑)元々極道な彼を目立たせたくて黒くんご登場頂いたので、黒担さんにはちょっとごめんさいしておきます!有難うございました☆ (2021年5月13日 22時) (レス) id: 07fd991e4a (このIDを非表示/違反報告)
あやかぽん。(プロフ) - ぶはっ(無呼吸で読んでた人)やっと読めました。。いやぁふっかさん想像しやすかったです。。絶対めめちゃんとくっつくと思ってただけにいい意味で裏切られてさすがゆきんこ先生って感じでしたヽ(;▽;)ノ←誰??とても楽しかったです!! (2021年5月13日 17時) (レス) id: 2ac8db89d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ななさん» なな様、お返事遅くなってすみません!そう言ってもらえると、頑張って書いて良かったなって思います(o^^o)ありがとうございます!! (2021年5月10日 13時) (レス) id: 07fd991e4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2021年5月5日 22時