3 ページ12
・
「抱っこしてやろっか？」
「っ、もうっ！！」
「ふはっ！！」
攻撃的な辰哉さんは確かに別の世界の人のように怖かった。知らない顔すぎて。
でもやっぱり助けてくれたし、私の手を掴む辰哉さんの温もりは確かにあって、私にはとても心地よかった。
辰哉さんに両手を広げれば、「ん？」と目を大きくして首を傾げる彼に、
「だ、抱っこしてください」と言えば、目を細めてふにゃふにゃに笑って「へいへい」と抱き上げてくれる。
細身な彼の首に腕を回せば、「かーいいじゃん」とにたり顔。
「は、恥ずかしぃ」
「ははは！」
渡辺さんたちが呆れた顔で此方を見てて、いたたまれなくて辰哉さんの肩に顔を埋める。
ほんのり香るのはお日様の匂いだった。
「おほっ、イケメンくんちゃんとお仕事したねぇ？」
「だから言ってんじゃん。ほら裏口から逃げるよ」
「あれ、なべは？」
「もう逃げてる、ほら」
背後にある出口に既に腕を組んで立ってる渡辺さんは、私にべーっと舌を見せていた。
後から振り返った辰哉さんにはしなかったけど。
逃げてる途中、辰哉さんに足を撃たれた男が痛みに顔を歪ませながら言う。
「あんたさぁ、くっ、こんなことして、ただで済むと思わねぇ方がいいよ……っ」
歩みを止めた辰哉さんを見上げると無表情で彼を見下ろして、私は身体が傾くのを感じた。
足を上げた辰哉さんは、自分が撃った箇所を遠慮なく踏み付ける。
「んがっ！ ぁ、ぁあっ、……ぐそっ、」
「汚ねぇ口空けてんじゃねぇわ。なんかあんならいつでも来いや。俺は逃げも隠れもしねぇから」
どうしよ。こんな危ない笑みを浮かべた彼を不覚にも格好良いと思ってしまった。
裏口から出ると、辰哉さんがまた立ち止まる。
気になって顔を上げると、防弾チョッキを着た目黒くんがまさにドーンと構えて私たちを待っていた。
なんでここにいるの？
全部の謎が私だけきっと知らない。
「おーう、イケメンくん。ちゃんと仕事してくれたんだねぇ」
「ああ、証拠は全て押収した。ずっとお前らが裏で手を引いてると思ってた……すまねぇ」
目黒くんが三人に頭を下げてる。
驚いて辰哉さんも唇を尖らせて、「いえいえ」と応えていた。
「でも俺はお前らを見過ごすわけにはいかねぇ」
「あらそうきちゃうか！でも俺らも捕まるのはやだねぇ」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2277人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ(プロフ) - スノ姫さん» コメントありがとうございます😌楽しんで頂けたようで嬉しいです😊 (2021年9月30日 6時) (
レス) id: e6ed62ce5f (このIDを非表示/違反報告)
スノ姫 - 素敵でいい話しですね。少し感動しました。凄く良かったですよ。 (2021年9月30日 6時) (レス) @page23 id: 61c754dd4c (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あやかぽん。さん» あやかぽん。様！最後まで読んで下さり有難うございました（私が人工呼吸しに行きますね←）裏をかけて良かったのかな？（笑）元々極道な彼を目立たせたくて黒くんご登場頂いたので、黒担さんにはちょっとごめんさいしておきます！有難うございました☆ (2021年5月13日 22時) (レス) id: 07fd991e4a (このIDを非表示/違反報告)
あやかぽん。(プロフ) - ぶはっ(無呼吸で読んでた人)やっと読めました。。いやぁふっかさん想像しやすかったです。。絶対めめちゃんとくっつくと思ってただけにいい意味で裏切られてさすがゆきんこ先生って感じでしたヽ(；▽；)ノ←誰？？とても楽しかったです！！ (2021年5月13日 17時) (レス) id: 2ac8db89d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ななさん» なな様、お返事遅くなってすみません！そう言ってもらえると、頑張って書いて良かったなって思います(o^^o)ありがとうございます!! (2021年5月10日 13時) (レス) id: 07fd991e4a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2021年5月5日 22時
