戻りたい場所 ページ10
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私が聞いたこともないような大声で怒気を飛ばす辰哉さん。
視覚も少なく慣れないせいもあって、ビクッと身体が強ばっていればつかつかと此方に近付く足音。
ピタと音が止んで、直後頭に痛みが走って。誰かに髪を鷲掴みにされてると気付いた。
「きゃっ!っ……!」
ぶら下がるようにして立たされた身体がよろめきながら移動させられて、腕を掴まれたまま肩を下に押されると前屈みになってその拍子に完全に目隠しが取れた。
「いい度胸してんなぁお前。喧嘩売ってきたのそっちだぜ。覚悟できてる〜?」
とても冷たく低い声、そして見たこともない鋭い眼光にゾクリとした。
「来んなよっ? 来たらこいつ刺すからなっ」
今度は身体を起こされて首に冷たい刃物が押し当てられた。
え……?
ドクン、ドクン、
「それ出すってことは覚悟できてんだな?」
「っ!?」
辰哉さんが一歩進むと、私の身体は一歩下がった。
ドクン、ドクン、
「やれっ!!」
「よおし、ひと暴れしてやらあぁぁ!!」
声を張り上げると、辰哉さん達はその声には似合わないゆっくりとした動作で動き出した。
男の人たちが素手や武器を持って三人に向かっていくと、辰哉さんは真正面から突っ込み遠慮なく顔を殴り飛ばした。
あんな細身の身体でこんなに力があるなんて。
渡辺さんは最低限に人を避けつつ足だけで攻撃して倒れ込んだ相手に、「血吐くなよ。汚れんだろ」と言葉を吐き捨てていた。
宮舘さんは喧嘩をするのもとても優雅に見えた。
身を翻して攻撃を避け、長い足を振り切って一撃必殺とでもいうか。
たった三人で十数人はいた男の人たちを次々に倒していくのを、まるで映画のワンシーンのようだと思ってしまう。
「こっちに来やがれ!」
「…っ、いや!」
腕を引かれ外に連れ出されそうになる。
私が捕まっていればきっと彼らの足手まといになる気がして、必死に逃げ出そうと暴れれば男に頬を叩かれた。
バチン、と乾いた音が響く。
「うぁっ…!」
余裕がなくなった人の攻撃は甘くない。
脳がグワングワン回ってて、涙が勝手に滲む。
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ゆきんこ(プロフ) - スノ姫さん» コメントありがとうございます😌楽しんで頂けたようで嬉しいです😊 (2021年9月30日 6時) (レス) id: e6ed62ce5f (このIDを非表示/違反報告)
スノ姫 - 素敵でいい話しですね。少し感動しました。凄く良かったですよ。 (2021年9月30日 6時) (レス) @page23 id: 61c754dd4c (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あやかぽん。さん» あやかぽん。様!最後まで読んで下さり有難うございました(私が人工呼吸しに行きますね←)裏をかけて良かったのかな?(笑)元々極道な彼を目立たせたくて黒くんご登場頂いたので、黒担さんにはちょっとごめんさいしておきます!有難うございました☆ (2021年5月13日 22時) (レス) id: 07fd991e4a (このIDを非表示/違反報告)
あやかぽん。(プロフ) - ぶはっ(無呼吸で読んでた人)やっと読めました。。いやぁふっかさん想像しやすかったです。。絶対めめちゃんとくっつくと思ってただけにいい意味で裏切られてさすがゆきんこ先生って感じでしたヽ(;▽;)ノ←誰??とても楽しかったです!! (2021年5月13日 17時) (レス) id: 2ac8db89d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ななさん» なな様、お返事遅くなってすみません!そう言ってもらえると、頑張って書いて良かったなって思います(o^^o)ありがとうございます!! (2021年5月10日 13時) (レス) id: 07fd991e4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2021年5月5日 22時