悪い人 ページ27
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「っ、ん、」
視線を感じる中で、辰哉さんの舌が咥内に捩じ込まれる。
「えー、なにこの状況？」
「さあね、ふっかが喰われてるのか、彼女が喰われかけ？なのか」
渡辺さん戻ってきたんだ。
て、ちょっとこんな呑気に考えてる場合じゃない。
直ぐ隣でキッと私を睨む視線をヒシヒシと感じて、辰哉さんの肩に置いた手に力を入れて体を離そうとした。
けれど辰哉さんの手が後頭部に回って、更に深く口付けられてしまう。
「ぁうっ、んっ」
咥内を好き勝手に這い回ってからやっと離れた互いの唇の間には、銀色の糸がオレンジの照明に照らされて妖しく光っていた。
「……Aって、こんなに大胆なんだ？」
「っ、ううっ」
「はいはい！ 良いムードのとこ悪いけど痴話喧嘩なら外でやってくれ〜」
「なっ、！？」
そ、そうだった。周りを見れば見事に大勢の冷ややかな視線を浴びていて、慌てて辰哉さんの膝から下りて、「すみません、すみません」と頭を下げた。
熱い、恥ずかしいと顔を仰いでいれば、背後で立ち上がった気配に見上げると辰哉さんが「ちょっと出よっか」と背中を押してくる。
店を出る辰哉さんに、女性たちが名前を呼んでいたけど彼は無反応だった。
「これ大丈夫？」
スーツの内ポケットから取り出した煙草。
「大丈夫です」
「ん、」
上下に揺すって器用に1本だけ出てきた煙草を咥え、風を避けるように手を立ててライターの火を付けてから煙草を近付け、火をつけるとスーハーっと紫煙を吹き出した。
「ふぅー、こんなとこまで来ちゃうなんてね」
「来ますよ。会いたかったから」
なんで置いて行ったんだって、私を避ける理由はなに？って聞きたかったのに、会ってしまえばそれだけで嬉しくて言葉にならない。
一歩彼に寄ろうとしたら、辰哉さんが一歩距離を取って待ってと掌を向けられる。
「煙たいから来ない方がいいよ」
「嫌です」
「まぁた、それ。 A、お得意だよね嫌って言うの」
むう、っと膨れっ面になった私を見てニヒルな笑みを浮かべた辰哉さんにドキッとさせられる。
「でもな、やっぱり俺には近寄んない方がいい。忘れな、あの日のことは」
「え、なんで……」
こんなにも感情が騒がしい日はそうそう無いんじゃないかってくらい、今はドキドキがスーッと消えていく。
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ゆきんこ(プロフ) - あきさん» あき様、こんばんは！コメントありがとうございます！極道VS刑事が楽しんでもらえてますか？ ダメよダメと思う程燃えるのともあるよなーっていう恋愛にしております(o^^o)あ、私も経験はないですよ（笑） (2021年5月6日 23時) (
レス) id: 07fd991e4a (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - ゆきんこ様、こんばんは☆紫さんの極道と黒さんの警察官…もっと早くに読めばよかった…(>_<) ダメなのは頭ではわかってるのに、危険な香りがする男に惹かれるの…わかる気がする(//∇//) ☆あ、経験はないですよ(笑)♪ (2021年5月6日 21時) (レス) id: 4aac9fb6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - megさん» meg様、コメントありがとうございます!! そして作品を気に入ってもらえて嬉しいです(^^) ありがとうございます!! (2021年5月4日 20時) (レス) id: 07fd991e4a (このIDを非表示/違反報告)
meg(プロフ) - やっぱりゆきんこさんの作品大好きです!! (2021年5月4日 16時) (レス) id: dd471eef77 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - reaさん» rea様、初めまして！コメント有難うございます。ドラマ化とかなんて嬉しいお言葉をっ!!実は裏設定？として夜10時枠頃のドラマを意識して書いてるところがあるので、そう言ってもらえてとても嬉しかったです!何度も読み返してもらえるように頑張ります(^^) (2021年5月4日 8時) (レス) id: 07fd991e4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2021年4月19日 21時
