【短編集】花屋さんの日常【Fischer's】 (ページ12)

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【ダーマ】わがままって言わないで【デンドロビウム】ページ12

Aside

雪合戦をする子供を眺めた。
Fischer'sのマネージャーになって早2年、最近は仕事の幅も増えて大変だ。
今日は特段大きな仕事がないので、同じく仕事がないダーマさんと鈍った体を動かしていた。

ダ｢俺達も昔、雪合戦してたなぁ｣
『オールシーズン動いてるイメージですけど、最近は冬を感じる動画は、意外と上げてませんもんね』
ダ｢今カメラ持ってたら、セカンダリに上げる用にお前に雪玉投げつけれるんだけどな｣
『やめてください通報しますよ』
ダ｢冗談冗談w｣

運動が得意ではない2人なので、雪合戦なんてしたら子供達にフォームを笑われるだろう。
それも加味して、セカンダリに上げるのはいいことかも？と思ってしまった私は、もうFischer'sと同じ頭になってるんだなぁと感じた。

『あぁ、もっと昔から関わりがあればよかったのになぁ…』
ダ｢Fischer'sと、ってことか？｣
『はい…まぁたらればの話は好きじゃないんですが…
そうしたらあの雰囲気にもっと早く馴染めるし、カメラ操作ももっと上手くいくかも…』
ダ｢随分強欲だな｣
『事実ですもん』
ダ｢んまぁ、でも今知り合っても良かったんじゃないか？
俺がお前と昔から会ってたりしたら吐きそう｣
『どういう意味ですか？』
ダ｢ん？そのわがままのお守りをさせられそうってことだ、今みたいにな｣
『私、そんなにわがまま言ってます…？』
ダ｢ないものねだりはわがままだぞ｣
『うぅ…』

痛い所を突かれた。
昔からどうしたい、こうしたい、あーしたいが先行しすぎてしまう。
過去を変えられないのがもどかしくて、未来のロボットが早く完成されないか、そして私のところに来てくれないか、などをまた考えてしまう。

ダ｢ほら、そんなとこで考え込んでないで帰るぞ｣
『すみません…』
ダ｢あからさまにしょぼくれるなよ。
何か甘い物でも食べるか？｣
『たい焼きがいいで…いやでもアイスもいいなぁ…2つってダメですか？』
ダ｢ダメに決まってるだろw
本当に強欲でわがままだなぁw｣
『えー…甘い物食べるか？って聞いたのはダーマさんなのにぃ…』

彼がにたっと笑う。
私はそんな奇妙な笑顔が愛おしいと思う。
彼は、私の笑顔は悪魔みたいだ、と言うが自分ではよくわからない。
動画で映る私の笑顔は、そんなに悪魔だろうか？
メンバーに聞いても首を傾げられる。
…なんだよ、またダーマさんに弄られたのか…
そう私はしょげつつ、ダーマさんはたい焼き、私はアイスを手に取り、帰路に着いた。