検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:2,030 hit

【シルク】大好きってほどじゃないけど【アネモネ】 ページ2

シルクside



シ「ふぁぁ…ぁあ」

数時間向かった編集の手が止まる。
動画のエンコードが始まれば、終わるまでの時間がとても退屈なのだ。
Twitterを見るのも億劫だとばかりに、俺は真っ白な天井を馬鹿みたいな顔して見つめる。

『こら、首痛めるぞ』
シ「いいじゃねぇか、俺身体は強いし」
『明日ヒィヒィ言っても看病しないからね』
シ「ちぇ、つまんねぇの」

A、一応彼女という扱いではある。
どうしてそう曖昧なのか、それはビジネスカップルだからだ。
事務所の仕事先で出会ったのがAで、俺達の活動にも理解があった。
その上でファンの方々からの求愛を避けるべく、彼女にビジネスカップルを依頼したのが半年前。
快く引き受けてくれた次の日、早速2人で報告動画を出した。
メンバーにはしっかりと事実を伝え、今に至る。
【お互いの事に深く関わり過ぎない】
そうした約束を決め、2人は好きな事をしつつ奇妙な同居生活を送っていた。

…が。
最近Aの様子がおかしい。
彼女兼マネージャーという立ち位置を乱用して、他のメンバーとヤケにつるんでいる。
どうしてか、無性に腹が立っていた。
それと同時に驚きもあった。
いつの間にか、Aに好意を抱いていたからだ。
護ってやりたい、渡したくないという思いが芽生え始めていた。
そして明後日、2人の半年記念日なのだ。
女性は贈り物をもらうと嬉しいと聞いたので、明日の撮影と編集はメンバーに丸投げし、俺は動画のネタを探すという口実で街に出よう思っていた。

シ「明日はどこに行こうかなぁ」
『あら、動画のことほっぽってサボりに行くのに?』
シ「んなわけあるか、しっかりネタ探すんだよ」
『顔に「サボる気満々です」って書いてあるよ』
シ「書いてねぇよ!」

たわいも無い話がこんなにウキウキと感じたのは、果たしていつぶりだろうか。
とっくのとうに出来上がった動画を投稿して、俺はAといつも通りの夜を過ごした。



朝だ。
今日は沢山見て回るため、少し遠くまで出かける予定だ。

シ「いい子ちゃんは黙って家で待てるかな?」
『ムカつく言い方、こっそりついて行ってやりたい』
シ「駄目だ。何のために動画で顔隠してやったと思ってるんだよ」
『…一応彼女ですけど?』
シ「…ま、まぁ、な」

ぎこちない返事をした。
彼女は、ビジネスカップルが本当は嫌なのか?
そんなことを考えつつ、俺は外に出た。

【シルク】大好きってほどじゃないけど【アネモネ】2→←はじめに



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
4人がお気に入り
設定タグ:フィッシャーズ , 恋愛 , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あかね | 作成日時:2020年4月30日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。