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朝顔の頁 ページ5

『君たちは?』

シ「人間です」『知っとるわ』


マ「ユーチューバーっていうんだ」


石垣に腰掛けた少女はマサイが発した言葉に顔を歪ませた


『ゆーちゅーばー?』

シ「動画を撮るのが仕事なんだ」


ン「君、名前はなんて言うの?」


恐怖で先程まで黙っていたンダホがやっと口を開いた


『君たちの方から先にどうぞ』


シルク達を眺めながら少女は
ニヤニヤと怪しげな笑みを浮かべている


シ「俺はシルク」

モトキ「俺はモトキ」

ンダホ「俺はンダホ…」

マサイ「俺は…マサイ…」


ボソボソと呟いていくメンバー達に
少女はパンっと手を叩いた
案の定ビクッとするメンバー達

すると急に少女は自分の腹を抱えて
震え出した


『フッ、ふ、ふはははははははっ』


ついに腹を抱えて大きく笑い出す少女に
首を傾けて顔を顰めるメンバー達の顔を見て少女はもっと笑いだした


『ふはっははは 何故…そんなに…怯えるの あははははは』


笑い過ぎて途切れ途切れになる少女の言葉はもうこの世に存在しない者の笑いとは言えない温かみのある笑いだった


『あー笑った、笑った、こんなに笑ったのは何百年ぶりだったかなぁ』


再度シルク達の方に向き直った少女は
目尻に溜まった涙を人差し指で拭き取った


『私はAっていうんだ』


読めないAの
心の中を疑問に思うようにシルク達はより一層顔の皺を寄せて輪郭を歪めた

Aは下駄を履いていて
Aが足を振る度に
カラン コロン と音がする

その音は無情に神社と神社を囲む森に木霊した

『生きてるんだね』

Aはシルクの顔を親指でなぞった


虎視眈々と迫る朝がAの身体を
段々と薄くしていく

『君たちが帰ったらまた一人か…』

薄く微笑んだAの顔は
もう半透明になっている
それは雲間から顔を覗かせた太陽の光に照らされて

本当に儚く今にも消え入りそうに
朝顔が開く様に青い顔を見せた空に吸い込まれそうなAに

シルクはいつの間にかそれに向かって
手を伸ばしていた



『寂しい…』


悲しく微笑んだAはもう
そこから消えていた

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作者名:神楽坂ノ坂道 | 作成日時:2019年9月19日 21時

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