FirstPeople -CM-

結婚 ページ40

．




「…本当に来ちゃったんだ」




Aとの結婚を決めてから数ヶ月後
会社を辞め、住んでた家も引払い
ハワイまで飛んで来たのに
Aは喜んで俺の胸に飛んで来ると思ったのに
目を見開き驚いていた





「ねぇ、仕事は？」

CM「辞めた」

「家は？」

CM「帰る所ないよ？俺」

「本当に…ハワイに住むの？」

CM「うん」





二人で住むには多少狭い家
二人で寝るには窮屈なベッド
二人で食事するには小さ過ぎるテーブル



そんな事でも
今の俺にとっては
Aと過ごせる時間がなによりも幸せを感じる





「ねぇチャンミン…」

CM「ん？」

「本当に私でいいの？」

CM「俺思ったんだ。どんなに綺麗でスタイルや性格が良くても俺はAしか選ばないんじゃないかなって」

「それ皮肉？」

CM「俺の人生の中でほとんどがAと初めての事ばかりで全てを覚えてるんだ。馬鹿な事したけど、顔だって忘れたのに、Aの顔は忘れられなかった」

「……」

CM「部長と仲良くしてるだけで嫉妬しちゃって。部長に告白されて悲しくなって。俺はAの事覚えてるのにAは忘れたんじゃないかって思ったり」




あの再会がなかったら。

もしAが仕事を辞めてたら。

Aの移動がなかったら。




きっと。

俺たちの運命は重なり合う事もなく

歩んでたかもしれない。



そう思うと尚更Aが愛おしくて抱き締めると
ちょっと瞳(め)を潤ませたAが俺を見上げた






キスしたら理性なんて吹っ飛んで
初めてAを抱いた日のように俺たちの影は重なった




近い将来
家族が増えて
もっともっと幸せが増えると思う




幸せそうに眠るAの左手に
あの時の結婚指輪を嵌めた


今も輝くそのリングに
再び幸せにすると誓って…







ー END ー

作者より→←尊敬

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す