FirstPeople -CM-

愛おしい君 ページ18

．



CM「水飲む？」

「ううん…要らない」

CM「じゃ」

「…吐きそう」

CM「えっ、ちょっ」




トイレにって言う前にAは自分でトイレへ駆け込んだ




青白い顔して
辛そうな顔のAは初めて見た



CM「はい、水」

「…ありがとう」

CM「もう平気？」

「…うん」

CM「なら…良かった」

「ごめんね…チャンミン」

CM「………」

「ごめん…こんな姿見せちゃって」




言葉を失った
Aは無理して笑って
目から一粒の涙が零れ落ちた



付き合ってた時も、結婚してた時も
俺の記憶の中でAが泣くなんてなかったから
不謹慎かもしれないけど
その涙がとても綺麗で…





こんなに愛おしいと思ったのは。
初めてだった


好きだった恋人時代
愛してた夫婦時代




いつからか、好きや愛してるなんて感情は何処かに置き忘れてしまって。

一緒に居るのが当たり前で。

愛おしいと思った事はあったかもしれないけど

一緒に居る時間が長ければ長い程

徐々にその感情も薄れていって。

いつしかお互いを必要としなくなった。





CM「…A。泣いていいよ」



抱き締めたら
すんなりとAは俺の腕の中へ来た



俺の胸で泣くAを
なんで手離してしまったんだろう


こんなにも苦しくて辛いなんて今更知るなんて



離婚して初めて知った傷み
そして、傷みと同時に溢れる想い



Aの細い身体をきつく抱き締めた

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