六皿目 ページ6
脳内で私が混乱の渦中にいるにも関わらず、諸伏さんに対して警戒心マックスなコナン君は何故か私の真横の椅子によじ登る。
いやマジでなんで。
他にも席はあるじゃん。
「ねーねー、お姉さん」
「な、なあに、ボク」
ぐいぐいとコナン君に袖を引かれて、私は戸惑いながら返事をした。
怖い。
何だ、何が聞きたいんだ。
「お姉さんは、このお店によく来るの? 初めて見るけど……」
「えっと」
「ご来店してくださったのは初めてだよ。それなのに、さっきハムサンドの隠し味を一発で当ててたから、すごいねって話してたんだ。ですよね?」
コナン君に返事をしようとした私の言葉を遮って、諸伏さんは笑みを深めてそう言った。
全くそんな話はしていなかったのだけれど、合わせろという無言の圧に負けて私は首を縦に振る。
諸伏さんってこんなキャラだっただろうか。
キラキラ胡散臭い笑顔の敬語キャラは安室さんと沖谷さんだけでお腹いっぱいなのですが。
「は、はい。家のサンドイッチもマヨネーズにお味噌を混ぜていて。他所では食べたことがなかったので、驚いちゃって」
「へぇ、そうだったんですね。俺の家のもそうなんですよ」
「緑川さんのお家もそうなんですか? わ、わぁ偶然ですね」
何故私は公安と高校生探偵の腹の探り合いに巻き込まれているのだ。
もうわけがわからない。
一刻も早く店から出たくて、私は残りのサンドイッチを二口で食べる。
すっかりぬるくなってしまったお茶をぐいっと飲み干すと、私はガタリと音を立てて立ち上がった。
「お会計お願いします」
「あ、梓さん、俺行きますよ」
デーデンッ デーデンッ
カウンターの奥でコナン君に出すらしいオレンジジュースを用意していた梓さんに爽やかにそう言って、諸伏さんはレジにやってくる。
ジョーズのBGMなんか背負って来ないでいただきたい。
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真白(プロフ) - 天然石さん» こちらは元々掲載しておりました完結済み短編を再度掲載したものとなっております。短編のつもりで書いていたので、作者としましてはこの先続けるつもりはあまりございません。楽しみにしてくださったのに申し訳ないです……。 (2023年3月26日 22時) (レス) id: f022b78e83 (このIDを非表示/違反報告)
天然石 - この小説終わったんですか?せっかく楽しみにしてたのに (2023年3月26日 14時) (レス) @page9 id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - 泉さん» ありがとうございます!読みやすくてテンポ感のあるお話を心がけているので、そう言っていただけてとっても嬉しいです! (2023年1月29日 18時) (レス) id: f022b78e83 (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - 千景さん» ありがとうございます!短編用で書き始めたのでここで終わらせましたが、結構気に入っている2人なのでそう言っていただけて嬉しいです。作者、何を隠そう景光推しでして……。これからもちょくちょく書くと思うので、また見かけられた際には読んでくださると幸いです! (2023年1月29日 18時) (レス) id: f022b78e83 (このIDを非表示/違反報告)
泉 - 読みやすい! (2023年1月27日 13時) (レス) @page8 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真白 | 作成日時:2023年1月24日 23時