三皿目 ページ3
「お待たせしました。お冷と、それからこちらも」
ぶつぶつと呟きながら頭を抱える私の前に、諸伏さんがグラスと湯呑みを置いてくれる。
ホカホカと湯気の上がるそれに、私はこてりと首を傾げた。
「あの、これは……?」
「サービスの温かいお茶です。体が冷えると体調が悪化してしまうことがあるので、良ければ」
そう微笑まれて、私はそっと湯呑みに手を伸ばす。
掌で包み込むと、じんわりと温もりが伝わってきた。
「あったかい……。お気遣いありがとうございます。いただきます」
ずずっとお茶を啜ると、全身が少し温まってきた。
思ったよりも体が冷えていたらしい。
もう一口ごくりと飲む。
「何かお悩みでもあるんですか?」
「え?」
すぐに仕事に戻るのかと思ったら、諸伏さんはカウンターに手をついて向こうから身を乗り出してくる。
私が頭に疑問符を浮かべると、彼は私の手元の皿を指した。
「お召し上がりにならないで、考え事をされているようだったので」
「あ、すみません。……ちょっと、考えなくちゃいけないことが急に沢山できちゃって」
せっかく作ったサンドイッチを客がなかなか食べなかったら、そりゃ気になるだろう。
私は小さく謝ると、ハムサンドを手に取った。
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真白(プロフ) - 天然石さん» こちらは元々掲載しておりました完結済み短編を再度掲載したものとなっております。短編のつもりで書いていたので、作者としましてはこの先続けるつもりはあまりございません。楽しみにしてくださったのに申し訳ないです……。 (2023年3月26日 22時) (レス) id: f022b78e83 (このIDを非表示/違反報告)
天然石 - この小説終わったんですか?せっかく楽しみにしてたのに (2023年3月26日 14時) (レス) @page9 id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - 泉さん» ありがとうございます!読みやすくてテンポ感のあるお話を心がけているので、そう言っていただけてとっても嬉しいです! (2023年1月29日 18時) (レス) id: f022b78e83 (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - 千景さん» ありがとうございます!短編用で書き始めたのでここで終わらせましたが、結構気に入っている2人なのでそう言っていただけて嬉しいです。作者、何を隠そう景光推しでして……。これからもちょくちょく書くと思うので、また見かけられた際には読んでくださると幸いです! (2023年1月29日 18時) (レス) id: f022b78e83 (このIDを非表示/違反報告)
泉 - 読みやすい! (2023年1月27日 13時) (レス) @page8 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真白 | 作成日時:2023年1月24日 23時