【忍たま】本が読みたい私のそれどころではない室町生活3

104話:気安く ページ8

……そっか、友達ってそういうものだよね。



友達になりましょう、はいいいですよ、でなれるようなものじゃなかった。

そのことを、すっかり忘れていた。


にこにこして、お互いに気を遣ってばかりで、口約束から始まった雷蔵君との関係よりも、久々知さんの言う『友達』の方がよっぽどしっくりきた。



「そうは見えないから忘れてたけどAは十七で俺は十四。普通に考えたら敬語を使うべきなのは俺であって、Aじゃないんだからさ……」

「それは、だって皆私より年上っぽいから」

「だったら尚更、Aは敬語なんてやめて、もっと年上然とするべきだと思うけど」



少し反論しただけで、口を尖らせた久々知さんがぐぐいっと距離を詰めてくる。

それが気安く接していいという久々知さんの意思の現れのようで嬉しい。



「わかった。仕事とかもあるから完全に敬語を外すことはできないけど、兵助に堅苦しい言い方をするのはやめる。約束するよ」



私の言葉に、兵助は嬉しそうに破顔する。



「じゃあ、皿洗いの続きしよう？ 結構溜まってきてるし」

「そうだな」



私達がごちゃごちゃ言っている間に、カウンターには生徒が食べ終えたお膳がたくさん並んでしまっていた。

慌てて回収して、ちゃぽんと流しに浸ける。


兵助が皿を洗いながら私におすすめの豆腐料理十選を語っている間、ずっとこちらを見ている一年生と二年生の二人組がやけに気になった。

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