116話:放し飼い ページ20
「うーん、ミスったかなぁ……」
てくてく歩き続けてそろそろ五分。
くの一長屋はおろか、生物小屋や薬草園らしき影すら見えてこない。
これはきちんと天の神様の言う通りに右に進むべきだったのだろうか。
「うわぁん、生き物ちゃん達どこよー！」
人が周りに誰もいないのをいいことに、私は好き勝手に喚きながら歩く。
私の勘が正しければそろそろ生物小屋が見えてきてもおかしくないはずなのだが。
「はぁあ、私はただお風呂に入りたいだけなのになぁ」
もう何度目になるかわからない溜息を吐いた私は、遠くからガサリと茂みが揺れる音が聞こえた気がして足を止める。
「あのー、誰かいるんですか？」
……返事がない。ただの空耳のようだ。
どこかのRPGの台詞を思い出しつつ、私は首を傾げる。
確かに音がしたと思ったのだけれど、気のせいだったのだろうか。
道を尋ねたかったのに、残念だ。
「とりあえず、進むか」
お風呂セットを抱え直した私は、再び歩きだそうと前を向いた。
「は？ 蛇？」
お風呂に入ろうと思ったら、蛇と出会いました。
そんなタイトルのラノベありそうだなぁ、などと現実逃避してみるけれど、そこに蛇がいる事実は変わらないらしかった。
赤茶色のボディに、くりくりとした黒の瞳。
シャーッと伸ばされた赤い舌が、月明かりを受けて艶やかに光る。
「学園で飼ってる蛇、なのかな。え、放し飼い？ マジで？」
茶色の円形の銭形模様、三角形の頭、ずんぐりむっくりとした体、加えて夜行性とくれば、この子はマムシなのではないだろうか。
毒蛇じゃないですか。危ないな、おい。
以前読んだ図鑑には、ニホンマムシは大人しいため手を出さない限り攻撃してくることはない、と書かれていたはずだ。
「お散歩邪魔してごめんねー、横通らせていただきますねー」
他に生き物がいないことを確認して、蛇から十分に距離を取りつつ横を通過する。
刺激しないように気をつけながら、決して目を離さない。
あと少しで蛇から完全に離れられる、と思ったその時だった。
「ジュンコ！ どこだい、ジュンコー！」
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真白(プロフ) - わそ姉大好きリスナーさん» ありがとうございます！ホントですか？それは光栄です。天女様系には素敵な作品も多くあるので、私の作品をきっかけに他の方のもいけるようになってくださったら嬉しいです(*´∀｀*) (2023年1月29日 18時) (
レス) id: f022b78e83 (このIDを非表示/違反報告)
わそ姉大好きリスナー - 面白かったです！自分は天女様系が苦手でしたけど、真白様のこの天女様系はなんかいけました！((^^ω)更新ファイト!!!!です(^^ω) (2023年1月25日 10時) (レス) @page23 id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - 千颯さん» わあああ！ありがたいお言葉ありがとうございます！！！私の更新が千颯さんの生き甲斐になっていたですって……？これからも気合いを入れて更新していきますので、楽しみに待っていてくださいませ！ (2022年12月18日 18時) (レス) id: f022b78e83 (このIDを非表示/違反報告)
千颯 - 毎週投稿を楽しみに生きてます( これからも作者さんのペースで頑張ってください！応援してます！ (2022年12月11日 11時) (レス) @page18 id: ecd2d0aa76 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - れいらさん» この更新スピードは、れいらさんを始めとする読者の皆さんのおかげなんですよ！ご期待にお応えできるよう、これからも頑張りますね♪ (2022年10月22日 20時) (レス) id: f022b78e83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真白 | 作成日時：2022年10月22日 13時
