115話:我が道 ページ19
「お風呂、入らなきゃ」
長次さんに図書室から部屋まで送ってもらった私は、小さくそう呟いて鞄を床に置く。
前の部屋と同じ間取りのこの部屋にも、やはり角に押し入れと引き出しが備え付けられていた。
ガサゴソと漁ってみると、引き出しの下の段に浴衣が入っている。
上に『Aちゃん用』と書かれた小さな紙が乗っていることを見ても、寝巻きとしてこれを使えということで間違っていないはずだ。
同じ段の右側に入れられていた桶の中に手拭いと浴衣を乗せると、私は立ち上がって部屋を出た。
……えーっと、こっちだっけ。
昨日の夜にシナ先生に連れて行ってもらった時の朧げな記憶を頼りに進んでみるけれど、一向にくの一長屋が見えてくる様子はない。
そもそも昨日とはスタート地点が違うわけだから仕方がないのかもしれないけれど、このまま辿り着かないのは非常に困る。
私を良く思っていない人とのエンカウント率が上がるだけ上がってお風呂に入れないだなんてごめんだ。
……ぬおぉぉお、どっちだお風呂！ 唸れ、私の記憶力！
頭の中を必死に探っていると、ふと昼の雷蔵君の言葉が蘇る。
『生物小屋はくの一長屋の方だよ。薬草園も近くにあるから、生物委員会に用がある時はそっちに行くと会えることが多いかな』
……生物小屋だ。
雷蔵君に案内してもらった生物小屋は、確か塀の側にあったはずだ。
ということは、塀沿いをずっと歩いていれば、どこかで生物小屋に辿り着けるだろう。
そこからならば、くの一長屋もすぐに見つけられるに違いない。
「よっと」
私は廊下から降りると、ひとまず一番近くの塀まで歩いていく。
右回りで行くか、左回りで行くか。それが問題だ。
このだだっ広い学園でこの選択を間違えると、非常に後悔することになる。
……どちらにしようかなのなのなのなのな。
天の神様は右に行けとおっしゃっているらしい。
ありがとうございます。
でもなんとなく左な気がするので左回りにしようと思います。
天の神様に頼った意味が全くないじゃないか、という誰かのツッコミが聞こえた気がするけれど、私は左に向かって歩き始めた。
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真白(プロフ) - わそ姉大好きリスナーさん» ありがとうございます！ホントですか？それは光栄です。天女様系には素敵な作品も多くあるので、私の作品をきっかけに他の方のもいけるようになってくださったら嬉しいです(*´∀｀*) (2023年1月29日 18時) (
レス) id: f022b78e83 (このIDを非表示/違反報告)
わそ姉大好きリスナー - 面白かったです！自分は天女様系が苦手でしたけど、真白様のこの天女様系はなんかいけました！((^^ω)更新ファイト!!!!です(^^ω) (2023年1月25日 10時) (レス) @page23 id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - 千颯さん» わあああ！ありがたいお言葉ありがとうございます！！！私の更新が千颯さんの生き甲斐になっていたですって……？これからも気合いを入れて更新していきますので、楽しみに待っていてくださいませ！ (2022年12月18日 18時) (レス) id: f022b78e83 (このIDを非表示/違反報告)
千颯 - 毎週投稿を楽しみに生きてます( これからも作者さんのペースで頑張ってください！応援してます！ (2022年12月11日 11時) (レス) @page18 id: ecd2d0aa76 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - れいらさん» この更新スピードは、れいらさんを始めとする読者の皆さんのおかげなんですよ！ご期待にお応えできるよう、これからも頑張りますね♪ (2022年10月22日 20時) (レス) id: f022b78e83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真白 | 作成日時：2022年10月22日 13時
