【忍たま】本が読みたい私のそれどころではない室町生活3

111話:謝りたい ページ15

AA、十七歳。

念願の図書室へ向かっている途中だというのに、何故か気持ちが晴れない。



……いや、何故か、じゃないか。



本当はわかっているのだ。

昼間に散々暴言を吐いた相手が真横にいるからだと。

とっとと謝ってしまえばいい。

悪いのは間違いなく私なのだから。



……でも、でも……。



はっきり言って、少し怖いのだ。

無表情で何を考えているのかさっぱりわからない。


そろりと様子を伺うべく横目で見つめると、中在家さんは僅かに首を傾げた。



「何でしょうか」



仙蔵さんといた時よりも少しはっきりした口調で中在家さんは尋ねてくる。

それが彼なりの心遣いなのだと気がついて、私は意を決して口を開いた。



「えっと、あ、あの。その、昼はすみません、でした」



中在家さんに謝るのだ、と強い意志を持ったはずなのに、口から出たのはそんな半端な謝罪の言葉で。

今中在家さんに喋らせたらそれを批判されそうで、彼の口元が微かに動いたのを見て慌てて言い募る。



「よく知らないくせに、生意気な態度を取ってしまってすみません」



腰を九十度に曲げてそう言った私に、中在家さんの空気が驚いたように揺れる。



「……気にしなくていい。あれは、事実なのだから」

「いえ、違うんです。あの時はすっごく苛々していて、あれはもうほとんど八つ当たりで。本当にすみませんでした」



さっきは何と謝ればいいのかさっぱりわからなかったのに、一度口を開いてしまうとスルスルと言葉が出てくる。


馬鹿みたいだ。

傷つけて、謝って。

それでもまた、きっと傷つける。

この人達も。



私も。

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