【忍たま】本が読みたい私のそれどころではない室町生活2

53話:まるで空き巣 ページ6

十分後。


事務室に無事到着した私は、ヘムヘムにお礼を言って障子を開けた。



「どわっひゃあっ！」

「小松田君っ！」



その瞬間、私の方へ倒れ込んでくる人と宙を舞う大量の紙。



……何事っ！？



半ば押し倒されるようにしてお尻を地面にしこたま打ち付けた私は、目を白黒させながら私の上で伸びている男性を見た。



……へっぽこ事務員、小松田秀作ぅ……。



シナ先生から色々聞いていたけれど、予想を遥かに超えるへっぽこぶりである。

上体を起こした私が頭を抱えていると、ヘムヘムがポンと肩を叩いた。










「Aさんですね。事務の吉野です。どうぞよろしく」

「AAです。こちらこそよろしくお願いします」



……なんで仕切り直した感じになってるんだろう。



散らばった紙を一旦端に押しやり、ついでに小松田さんも押しやった吉野先生がぺこりと頭を下げる。

苦笑いしつつ自己紹介した私は、部屋の隅でうずくまっている小松田さんに目を向けた。



「えっと、これは一体どういうことでしょう」

「……よくあることです」

「え？ よくあることなんですか？」

「そうです」



一瞬処理落ちしかけ、私はブンブンと頭を振る。

今私がしなければならないことは一つなはずだ。



「とりあえず、お片付けしましょうか」

54話:読めない→←52話:瞬間、心、重ねて

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す