-7年 食堂 6 ページ10
私も高校の頃似たようなことを思ったから、諸伏君の気持ちはなんとなくわかる。
小さい頃から顔が整っていた幼馴染達は、年を重ねるにつれてどんどんと女の子からの人気を集めていった。
彼らに想いを寄せていた女の子達の中には、幼馴染の私を懐柔することで二人からの好感度を上げようとする子も一定数いたのだ。
将を射んとすれば先ず馬から、ということなのだろう。
イケメン二人と仲の良い私を「何よあの女!」といじめてくる可能性があったことを思うと、馬扱いされていた方がまだマシだと思える。
ただ、頭で理解しているのと心が納得するのはどうやら別のようで。
陣平君や研二君目当てで私と仲良くなった女の子達は、だからといって二人と仲良くなれるわけではないと気づくと、すぐに私から離れていってしまう。
それが少しだけ悲しくて、寂しくて。
そんなことが続くと、新しく仲良くなってくれた子もどうせ二人狙いなんだろうな、と思うようになってしまったのだ。
だから、入校式の日に降谷君のことを見ていた私は彼狙いなのだ、と思った諸伏君の気持ちは、痛いほどよくわかる。
けれど、だからこそ知ってほしい。
私の中には諸伏君に対する下心しかないのだということを。
「それに、私はあの日途中から諸伏君のことを見てたんだよ?」
知らなかった? と首を傾げてみせると、きょとりと目を瞬かせた諸伏君の顔がボッと赤く染まる。
「……えっ」
「これから仲良くしてね」
そこでちょうど食べ終えた私は「ごちそうさまでした」と椅子から音を立てて立ち上がった。
これでは、八割五分告白のようなものではないか。
羞恥で赤くなっているであろう耳を肩で切り揃えた髪で隠すと、私はトレーを持ち上げて踵を返す。
「じゃ、じゃあ私、次の時間の準備して来ないといけないから」
言い訳にもなっていないような言葉をもごもごと口の中で転がして、私は早足で返却口の方へ歩きだした。
後ろでガタンと椅子が動く音がしたな、と思ったら、すぐに諸伏君が追いついてくる。
「オレが持つよ」
「へぁ、え? あ、ありがとう」
片手で軽々と私のトレーを取り上げた諸伏君は、スタスタと返却口へと歩いて行ってしまう。
慌てて礼を言いながら私が後を追うと、食堂の入り口の辺りで意を決したように彼が振り返った。
「あ、あのさ、Aさん。もし良かったら、オレと一緒に──」
66人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真白(プロフ) - シンヤさん» わ〜!ありがとうございます!デートシーンを書くのに時間がかかっているせいで更新亀さんですが、良ければこれからもよろしくお願いします! (11月15日 20時) (レス) id: f022b78e83 (このIDを非表示/違反報告)
シンヤ(プロフ) - 続きとても楽しみにしています🥰 (11月15日 0時) (レス) @page12 id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:真白 | 作成日時:2023年9月13日 17時