-7年 11月初旬、深夜 1 ページ11
「それにしても良かったのかな、降谷君達にも声かけなくて」
警察学校に通っている間に既にスカウトを受けていたらしい陣平君と研二君が、無事爆発物処理班に配属された、という浮かれたメールを送ってきたのが四日前のこと。
祝いだのなんだのと理由をつけて、卒業以来久々に皆で飲もう、という話になったのは昨日の夜のことだった。
一番最初に潰れた奴の奢りな、という陣平君の一言から始まった飲み比べ対決は、おそらく主催と幼馴染の二人によって引き分けだろう。
繁華街から少し離れた歩道橋の上を酔い覚ましと称して歩きながら、店に戻ったらどんな高い酒を注文してやろうか、とぼんやり考える。
「いいのいいの。あのままあそこにいても松田と萩原の介抱しなきゃいけなくなるだけだし、それならゼロと班長だけでも十分だからさ」
久しぶりにAとゆっくり話もしたかったし、とお酒が入って少し赤くなった顔で、景光君はいたずらが成功した子供のようにへへっと笑う。
べろんべろんに酔った陣平君と研二君に溜息を吐いていた降谷君と班長が揃ってトイレに立った隙に、「ちょっと抜け出そうよ」と景光君は口元で人差し指を立てた。
彼らしくない言動を意外に思いつつも、二人だけの秘密という甘い誘惑に負けた私は、首を縦に振って大人しくついてきたのである。
「……景光君がこういうことするの、なんか珍しいね。ちょっと酔ってる?」
「酔ってないよ」
……嘘だ。絶対に酔っぱらってる。
きゅっと繋がれた手をむすりとした表情で少し眺めた後に景光君を見上げると、彼は舌っ足らずな口調でうふふと笑った。
その顔がなんとも可愛くて、私は喉元まで出かかった「戻ろうよ」という言葉をごくりと飲み込む。
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真白(プロフ) - シンヤさん» わ〜!ありがとうございます!デートシーンを書くのに時間がかかっているせいで更新亀さんですが、良ければこれからもよろしくお願いします! (11月15日 20時) (レス) id: f022b78e83 (このIDを非表示/違反報告)
シンヤ(プロフ) - 続きとても楽しみにしています🥰 (11月15日 0時) (レス) @page12 id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真白 | 作成日時:2023年9月13日 17時