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40話:読む物、吸って吐く物 ページ42

「ごちそうさまでした」



本日も非常に美味しかった。

こんなに美味しいご飯を毎日食べられるなんて、幸せだと思う。


余韻に浸りながら食後のお茶をシナ先生と飲んでいると、食堂の入り口に誰かが音も無く現れた。



「おばちゃん、おはようございます」

「あらおはよう。まだ焼き鮭定食しかできてないんだけど、それでもいい?」



おばちゃんと親しげに話した後こちらに歩いてくる仙蔵さんに、私はどうするべきか、とシナ先生を見た。



「おはようございます。天女様、シナ先生」

「おはよう。今日はずいぶんと早いのね」



僅かに警戒したように、先生が口を開く。

警戒しすぎなくてもいいことは昨夜の一件でわかったけれど、私も無意識のうちに肩を強張らせた。



「シナ先生がここにいらっしゃると聞いたもので。ご報告したいことがあります。少しよろしいでしょうか」



その言葉に一度伏せられたシナ先生の双眸に、迷いの色が浮かんでいるのが見えた。

観察対象の私が隣にいては、あまり込み入った報告はできないのだろう。



……空気、読んだ方がいいよね。



「あの、シナ先生。私、お二人のお話が終わるまでおばちゃんのお手伝いしてきます」



ガタリと音を立てて椅子から立ち上がると、私は足早に調理場へ向かう。

私の話を真横で聞くのも気まずいし、今はこうするのがベストなはずだ。



「おばちゃん。何かお手伝いできること、ありますか?」



暖簾をくぐって調理場に顔を出すと、おばちゃんが驚いたように目をまたたく。



「Aちゃんには、昼から手伝ってもらうって聞いたけど」

「シナ先生が仙蔵さんとお話ししていて。部屋に帰ろうにも、生徒が起き始めたこの時間じゃ不用意に出歩けないんです」



困りました、と眉尻を下げる私に、納得したようにおばちゃんが頷いた。



「そういうことなら、お言葉に甘えようかしら。その桶の水で手を洗ったら、まずはこの人参を銀杏切りにしてくれる?」

「はいっ!」



ここに来てから初のお仕事である。私は、気合いを入れて人参を手に取った。

41話:付き添い→←39話:三文の徳



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魚月(プロフ) - 小桜さん» わかります!めちゃくちゃあるあるですね!ありがとうございます。参考にさせていただきます! (2022年3月29日 20時) (レス) id: cd436a6c71 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 魚月さん» そうなんです! 私も本大好きなんですよ〜。私の場合は、途中まで読んだ本を栞を挟んだりするんじゃなくて、開いたまま伏せて置くのが許せません! 型が残ってしまうので。……これは結構あるあるなんじゃないかな〜って思ってます! (2022年3月28日 22時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
魚月(プロフ) - (続き)夢主ちゃんを究極の本好きにするため、本好きの友人達から「本好きあるある」を募って書いています。私はこうだな、というのがありましたら、ぜひ教えてくださいね! (2022年3月28日 19時) (レス) id: cd436a6c71 (このIDを非表示/違反報告)
魚月(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます! 夢主ちゃんと気が合いそうとは、小桜さんもなかなかの本好きですね。……実は作者もです笑。 (2022年3月28日 19時) (レス) id: cd436a6c71 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - ヤバい……夢主ちゃんの言うことめっちゃ分かる……!! この子とは気が合いそうです! とても面白く、続きが楽しみです。更新頑張って下さい! (2022年3月28日 7時) (レス) @page19 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:真白 | 作成日時:2022年3月15日 9時

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