37話:誤魔化し ページ39
じっと疑いの目を向けると、少し迷ったように視線を彷徨わせた仙蔵さんが諦めたように口を開いた。
「天女は常に鼻が曲がるような甘い香りを身に纏っており、妖術を使う時にはその臭いが強まります。そして、天女を天女たらしめるのがその臭いだと、私は考えています」
「臭い、ですか」
「はい。前回の天女はやって来た当初は無臭だったのが、あの部屋で生活しているうちに天女の香りがするようになり、それに比例するようにして温厚だった人柄も変わって行きました」
話を聞けば聞くほど、天女達の悪行にはその臭いが関係しているような気がしてくる。
「仰る通り、部屋変えてもらった方が良さそうですね。明日にでも、相談してみようと思います。教えてくださって、ありがとうございました」
ぺこりと頭を下げると、彼は僅かに口元を緩ませた。
……仙蔵さんが、笑った。
日中に見せていた、あの作ったようなキラキラしい笑顔とは明らかに違う。
心から出た、温かい穏やかな笑みだ。
トクリと鳴った胸の鼓動を誤魔化すように、私は口を開く。
「そういえば、どうして仙蔵さんは私のことを天女じゃないと思ったんですか？」
この人は最初からそうだった。
他の人はもっとしつこく疑ってきていたのに、天女ではないと主張する私のことを擁護してくれたり、今もこうやって助けてくれたり。
不思議な人、と笑う私とは対照的に、仙蔵さんは表情を厳しいものに変える。
「それは私が、二人目の天女の時からずっと正気だったからですよ」
……え？
一瞬その顔が酷く悲しそうに歪んだ気がして、私は小さく息を呑む。
どういうことですかと聞こうとしたのに、いつのまにか後ろに回っていた仙蔵さんの手によって、私の意識は強制的に刈り取られた。
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魚月(プロフ) - 小桜さん» わかります！めちゃくちゃあるあるですね！ありがとうございます。参考にさせていただきます！ (2022年3月29日 20時) (
レス) id: cd436a6c71 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 魚月さん» そうなんです！ 私も本大好きなんですよ〜。私の場合は、途中まで読んだ本を栞を挟んだりするんじゃなくて、開いたまま伏せて置くのが許せません！ 型が残ってしまうので。……これは結構あるあるなんじゃないかな〜って思ってます！ (2022年3月28日 22時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
魚月(プロフ) - （続き）夢主ちゃんを究極の本好きにするため、本好きの友人達から「本好きあるある」を募って書いています。私はこうだな、というのがありましたら、ぜひ教えてくださいね！ (2022年3月28日 19時) (レス) id: cd436a6c71 (このIDを非表示/違反報告)
魚月(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます！ 夢主ちゃんと気が合いそうとは、小桜さんもなかなかの本好きですね。……実は作者もです笑。 (2022年3月28日 19時) (レス) id: cd436a6c71 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - ヤバい……夢主ちゃんの言うことめっちゃ分かる……！！ この子とは気が合いそうです！ とても面白く、続きが楽しみです。更新頑張って下さい！ (2022年3月28日 7時) (レス) @page19 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真白 | 作成日時：2022年3月15日 9時
