By a trick of fate ~ 2 (ページ7)

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56.ビールページ7

｢いらっしゃい｣

賢介にーちゃんと別れて、私は今日も貴徳さんのお店に来た。

｢ビール…｣

｢珍しいな、なんかあった？｣

何も、ない。はずなんだけど。

〝そろそろ大人になれよ〟

別れ際賢介にーちゃんに言われたその言葉が引っかかっていた。

｢はい、｣と、目の前にビールが置かれ、直ぐにごくごくと飲み干す。

｢今日はやけに飲みっぷりがいいですね。笑｣

｢…貴徳さん、どうやったら好きになった人を嫌いになれますか？｣

私の言葉に貴徳さんは一瞬驚いた顔を見せたけれど、

｢…嫌いになる必要はないんじゃない？好きなままでいても、相手の迷惑にならないなら、ね。｣

嫌いになる必要はない、か…

｢A、無理に前向こうとすんなよ。お前のペースでいいんだぞ。｣

貴徳さんは私の過去を知ってる、というか、目の当たりにしてきたただ1人の人______。

スマホを開いて、懐かしの写真を探す…

貴徳さんと、私と、あいつのスリーショット。

忘れたくて、でも、忘れられなくて

いや、〝忘れたくない〟が正しいのかもしれない。

私が今までの人生の中で1番愛した人だったから_______。