By a trick of fate ~ 2 (ページ13)

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62.朝ごはんページ13

中島side

｢…ん｣

いい匂いで目覚めた。

起きて周りを見渡し、約1時間前のことを思い出す。

あの女の部屋やった…

事故はなかったとはいえ、一夜を共にしたということは事実に変わりない。
起きたら夢であってくれなんて思っていたけど。

とりあえずベッドから降りていい匂いの元へ向かった。

｢…あ、おはようございます。｣

｢…おはよう｣

｢私が作ったので良ければ、食べていってください。｣

食卓に並ぶのは俺の分の朝ごはん。

こいつはもう食べたのか。

｢…毒でも入っとるんかな｣

｢入ってません、ご安心ください。｣

俺の嫌味なんて相手にもせず。

せっかく作ってくれたんやし、と思って、両手を合わせ、｢いただきます｣と言うと、

｢意外と礼儀正しいんですね｣

なんて嫌味が返ってきた。

もちろん俺も相手にはしない。

｢……美味い｣

自然と出た言葉だった。

別にこいつを持ち上げようとか思って言ったわけじゃない。

純粋にそう思った。

そして見事に完食。

｢ね、毒も何も入ってなかったでしょ｣

そう言っていたずらっ子のような笑顔を見せる彼女に、俺はあいつの面影を重ねていた。