Chrysanthemum princess (ページ9)

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漆ページ9

望side

桃「ただいまー。」

紫「おかえり。随分遅かったやん…って、その足どうし

た！？」

家に入った瞬間に、一番上の兄貴の濵ちゃんに驚かれた。

桃「ただいま濵ちゃん。木の根に引っかかって転んでしもう

て。雛菊っていう人に助けてもらったんや。」

名前は崇裕やけど、俺は濵ちゃんって呼んどる。
なんか…濵ちゃんって感じがするねん。

紫「え、その雛菊って人は？」

桃「もう山を下っていった。」

紫「嘘やん！ちょ、行ってくるわ！」

紫「え、ちょ、濵ちゃん！？」

濵ちゃんはドタドタと慌てた様子で出ていった。
たぶん菊を追いかけに行った。

どないしたんやろ。
あ、もしかして…

“ちゃんとお礼せなあかんやろ！少なくとも家にはあげるべきや！”

的な感じ？
うわ、俺あとで怒られるかもしれん。

橙「おお、望おかえり。」

桃「ただいま、照史君。」

野菜を肩に担いで来たのは上から二番目の兄貴、照史くん。
良く畑仕事をしている。
家族の中では肌が黒い方。

橙「なんか、さっき濵ちゃんが大慌てで行ったけど…。

どないしたん？」

桃「怪我してもうて、雛菊っていう人に助けてもらったんや

けど。たぶん『ちゃんとお礼せなあかんやろ！』やと思う

で。俺怒られたないわ…。」

橙「ああ、濵ちゃんはそこら辺厳しいもんな。」

独特な笑い方で照史君は笑った。
もう、笑い事やないって…。