拾壱 ページ31
流星side
「姐さん、具合は大丈夫ですか？」
「おん。大分マシになったで。」
なんか、この二人ほんまの兄弟みたいやなぁ。
二人とも顔が整っとる。
「皆さん、本当にありがとうございます。
姐さんの面倒を見ていただいて。」
梅が俺達に頭を下げた。
菊が働いとる店の者は、礼儀正しいんやな。
俺も見習わな。
「あはは、そんなことありませんよ。」
「せやね。うちらにはこれが普通です。」
…？
なんで二人ともこっち向いとるん？
俺なんか言った？
「流星、声に出てはりましたよ。」
「え、ほんま？うわぁ、恥っず…。」
心で思ったことがすぐ出てまうねん。
直したいんに…。
「流星さんというんですね。」
「おん、流星や。よろしくな。」
梅も帰らなあかんやろし、もう俺が皆の名前言お。
「あそこの撫で肩が崇裕。その隣が食いしん坊の照史。
で、うるさいのが大毅で、その隣は料理が上手な智洋。
俺の隣におる背の高いのが望や。」
俺が一気に紹介したから、皆目が白黒しとる。
…おもろっ。
「おい流星、誰が撫で肩やねん。」
「ええやんご飯美味しいんやもん！」
「俺だけ悪口やん。」
俺の自己紹介に少々ご立腹な兄達。
ええやん事実なんやし。
「仲のいい家族なんですね。
じゃあうちも改めて。梅雛という名前で仕事をさせてもらってます。
本当の名前は勝利です。
さっきは梅と言いましたが、梅でも勝利でも大丈夫です。よろしくお願いします。」
梅がまた頭を下げる。
俺達は、停止した
「…え？えっと、皆さんどうしたんですか…？」
「ほんまの名前、言ってもええの？」
俺達の気持ちを代弁して、神ちゃんが聞く。
「えっと…いいんですよ？本人の好きですけど。｣
「…すんません、実は、うちが名前を言いたくなかっただけなんです。
ほんまに、すんません。」
申し訳なさそうに、菊が頭を下げた。
「最初から、そう言ってくれればええんに。」
「せやけど、皆さん気になってしまうかと思って…。」
「別に俺達は気にせんよ。菊は菊や。」
神ちゃんが微笑んで、照史くんが菊の頭を撫でた。
せやな。菊はどんな名前であれ菊なことに変わりはあらへん。
少しだけ、仲がようなった気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 91人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：百瀬 花楓 | 作成日時：2020年2月29日 20時
