Chrysanthemum princess (ページ21)

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第三章夜弧屋ページ21

望side

黄「え、一晩！？そない寝とったんですか、うちは！？

どないしよどないしよ。」

橙「ええ、ちょ、ちょっと落ち着き？

そない慌てんと…。」

黄「落ち着いてる場合じゃありません！

店になんも言っとらんのです。楼主が心配します。

何をしでかすか分かりません！」

照史くんが宥めても、落ち着くどころか更に慌てる菊。

なんや、そないに楼主はヤバい奴なんか？

黄「うちの楼主は、基本冷静なんです。

その分、怒った時や男女郎達に何かあった時はそれはもう凄

いことに…。」

え、菊でも恐れるほどなんか？
大分怖く俺を叱った菊が？

黄「のんちゃん、声に出てはる。｣

桃「え、あ、ごめん。｣

「…以前、夜弧屋の男女郎が行方不明になったことがあった

んです。
まぁ、その子をお気に召している方が勝手に連れ去ったんで

すけどね。

それが分かった瞬間、その方をボコボコに殴って、もう来る

なと言いはりました。」

え、こっわ…。
自業自得なんやけど、なんか可愛そうやわ…。

紫「それで、その人はどないしたん？」

黄「それが…分からないんですよ濵ちゃん。

ふと気になって、色々な人に聞いて回ったんですけど、

誰も知らない言うんです。

恐らく楼主は、社会から抹殺したのかと…。」

社会から、抹殺。

え、待って。てことは菊が今いなくなってるんやから…。
ここにいると分かったら俺達は…？

黄「うちがここにいると分かったら、楼主は皆さんを殺す勢

いで来ると思います。せやから…。｣

菊がふらついて立ち上がった。
まさか…。

黄「うち、戻ります。うち自身が戻れば、楼主は大丈夫なは

ずです。」

いやいやいや、そない燃えた目付きをされても…。